コラム2023/03/27
在宅患者の精神症状の評価
在宅患者の精神症状の評価
身体的疾患を抱える患者は身体症状ともに様々な精神症状を呈します。
精神症状は患者本人だけでなく、介護者である家族にもつらさや負担を生じ、在宅療養生活の継続の弊害となってしまいます。
そのため、精神症状の評価や、対応および治療ができることは在宅医療において重要な課題となります。
精神症状の評価
適切な対応・治療が行われるためには、評価が重要となります。
正確な評価ができていないと間違った対応・治療が行われ、患者・家族にも不利益を生じてしまいます。
精神症状の評価が苦手という医療従事者は非常に多いですが、身体症状の評価(診断学)を身につけるのと、精神症状の評価を身につけるのは同様です。
精神活動のどの側面を評価し、そのためには何を観察し、どのように尋ねればよいのかを学習すれば良いのです。
評価~原因の検索~
精神症状は気持ちの問題と考えられ、患者が抱えている心理社会的問題を最初に評価し、精神症状の原因と考える傾向があります。
精神症状の原因は、生物学的要因、心理的要因、社会的要因に分けて、それぞれの要因毎に評価する必要があります。
評価~意識の評価~
生物学的要因は脳の機能の変化であり、第一に評価すべきは意識です。
評価法は一般医療においての意識の評価、続いてバイタルサインを評価する手順と同様です。
精神医療においては知能・認知、気分・感情、意欲、睡眠などに置き換えられます。
しかし、精神医療における意識障害に関しては、一般医療よりも軽度の意識障害を評価する必要があります。
軽度~中度の意識障害の有無を評価するためには、患者の注意力、集中力に注目し、観察と刺激を与えながらその反応を観察する必要があります。
具体的には、会話の中での思考のまとまりの悪さ、言い間違え、感情・局面での変化などに注意することが大切になります。
評価~機能の評価~
次に、知能・認知機能を評価します。
これらはHDS-RやMMSEなどの神経心理テストを参考にします。
しかし、これらの神経心理テストには患者のプライドに傷をつけかねない質問もあるため、慎重な導入が肝要です。
まとめ
評価の順序は特に決まっているわけではありませんが、慣れるまでは①意識、②認知・知能、③抑うつ・不安、④心理社会的問題の順番で評価するのがよいとされています。