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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

認知症の方とのコミュニケーションテクニック~バリデーションついて~

コラム2023/03/20

認知症の方とのコミュニケーションテクニック~バリデーションついて~

認知症の方とのコミュニケーションは通常のコミュニケーションとは違った“ひと工夫”をすることでうまくいくことが多々ありますね。
本日は認知症の方とのコミュニケーション法の一つである“バリデーション”をご紹介いたします。

バリデーションとは…

バリデーションはアルツハイマー型認知症と類似の認知症のご高齢者とコミュニケーションをとる為の方法の一つで、認知症の方の言動や行動を意味のある事と捉え、認め、受け入れることを指します。

バリデーションの意義

バリデーションは以下の二つを目指すことを基本原則としています。

高齢者の感情表出を促し、共感する

マイナスの感情(悲しみ、怒り、恐れ、不安
  など)にも蓋をしない

高齢者の「人生の未解決の課題」への奮闘を支援する

やり残したこと・心の傷になっている事・大切な人との死別や離別

バリデーションの効果

バリデーションを用いることで以下の効果に期待できます。

認知症の高齢者への効果

・ストレス、不安の解消、または軽減
・BPSD(行動、心理症状)の緩和
・自尊心の取り戻し。生きる活力を与える
・再び他者との交流を持つことができる

ご家族と私たちへの効果

・認知症の方の言動を理解し、共感・受容が可能になる
・フラストレーションが緩和される
・認知症の方と信頼関係を築くことができる
・自分の仕事に自信を持つことができる

バリデーションの基本的態度

バリデーションでは以下の5つの基本的態度を心掛ける必要があります。

1.傾聴⇒耳だけではなく五感を使って「聴く」
2.共感(カリブレーション)
⇒認知症の方の感情が表れている身体部分を観察し、一致させていく
※同情したり、気晴らしをいったり、元気づけ、安心させようとすることと勘違いしないように注意してください。
3.誘導しない(ペースを合わせる)
⇒姿勢・歩き方・表情・呼吸などを一致させる
4.受容し、強制しない
⇒あるがままを認めて、その方の世界に近づく
5.嘘をつかない・ごまかさない
⇒しっかりと向き合い、信頼関係を構築する

バリデーションのテクニック

言語的テクニック

リフレージング(反復)
(愛情欲求、役割欲求、感情欲求)部屋に誰かが居る!⇒部屋に誰かが居るのですね 認知症の方は自分の間違いに気づいている事も多いので、それを指摘されることなく、自分の言葉を繰り返して相手が確認してくれることが、安心感につながります。その時介護者は同じ言葉を繰り返すだけではなく、声の大きさや抑揚もできるだけ本人と同じようにした方がラポール構築の効果が高いと言われています

オープンクエスチョン

レミニシング
過去をたずねることによって、現在の困難なことがらに対処する方法を、過去の体験から引き出してあげることができます。

非言語的テクニック

ミラーリング

アイコンタクト
真正面に座る、カリブレーション(共感)を続ける、受け入れるという想いを込めて相手の目を見つめる

タッチング(アンカードタッチ)
母のタッチング:手のひらで頬を繰り返しなでる
父のタッチング:頭頂部からなでおろす
子のタッチング:首の後ろを指先でなでる
友のタッチング:肩から上腕部へ撫でおろす

話しをしながら認知症の方に触れます。「友のタッチング」は共感を表すときに効果的。相手が母親の話をしたときには「母のタッチング」、父の話なら「父のタッチング」、子供の話なら「子のタッチング」と話に合わせたタッチングを試みてください。

声のトーン

まとめ

コミュニケーションスキルを磨くことで、自信をもって認知症の方とコミュニケーションをとれるようになり今よりも普段の業務もスムーズに行えるようになるかもしれませんよ。