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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

睡眠障害をアプリで治す!?~服薬以外の選択肢~

コラム2023/01/06

睡眠障害をアプリで治す!?~服薬以外の選択肢~

よく寝る前にスマホを使うと寝つきが悪くなるなどの話が出ますよね。寝つきを改善する方法の一つは睡眠導入剤を処方してもらい服薬することですが、これも依存の問題などから不安視する人も多いかと思います。そんな中、アプリで睡眠障害を改善できるという方法が水面下で進んでいるんです。

睡眠障害とは

睡眠に関連した多種多様な病気の総称です。

大きく分類すると、不眠症・過眠症・睡眠時随伴症があります。

睡眠に関連した多様な病気を、まとめて睡眠障害と呼びます。

睡眠障害のなかで最も多いのが、不眠症です。

代表的な不眠の症状

「最近よく眠れない」「寝てるのにスッキリしない」と感じていても、自分の睡眠状態がわからない方はよくいます。

代表的な不眠の症状にどういうものがあるのかを知りましょう。

<代表的な不眠の症状>

入眠障害…寝つきが悪く、30分以上経っても眠れない。

中途覚醒…途中で目が覚めて、なかなか寝付けない。

早朝覚醒…朝早く目が覚めてしまう。

熟眠感欠如…ぐっすり眠った気がしない。

これら4つの症状は、組み合わさって起こることもあります。

役に立つ薬の情報~専門薬学~

https://kusuri-jouhou.com/domestic-medicine/sleep2.html

サスメドの不眠障害治療用アプリが承認されました

このアプリは、不眠障害患者のモバイル端末にインストールされ、不眠障害の認知行動療法(非薬物的心理療法)を実施するためのソフトウェアです。

厚労省によると、同アプリが行う機能は、医師と対面で行われている認知行動療法を一定程度踏襲した内容になっています。

同アプリは塩野義製薬が日本で独占的に販売するそうです。

同アプリは、▽睡眠衛生指導、▽睡眠表(睡眠日誌)、▽睡眠時間制限療法、▽刺激制御療法、▽認知療法――の5つで構成され、治療期間は9週間となるそうです。

欧米では認知行動療法を不眠障害治療の第一選択として推奨している

日本で不眠障害に対して広く実施されている治療法は薬物療法です。

日本にも「睡眠薬の適正な使用と休薬のための治療ガイドライン-出口を見据えた不眠医療マニュアル-」があり、できるだけ早期から認知行動療法などの心理的・行動的介入も活用することが推奨されているが、普及していません。

臨床試験の結果は

臨床試験は、ICSD-3(睡眠障害国際分類)に基づいた不眠障害に該当し、治療を必要とする20歳以上の患者を対象に、シャムソフトウェア対照・多施設共同・動的割付・並行群間・二重盲検比較試験として国内で実施しています。

同アプリを使用する群(87例)とシャムソフトウェア(=治療アルゴリズムなどの治療の機能を除いたもの)を使用する群(88例)の治療開始後8週時のアテネ不眠尺度(AIS)のベースラインからの変化量が比較され、AIS変化量の平均値の差は-3.4(p<0.001)であり、シャムソフトウェア群に対する同アプリ群の優越性が示された。同アプリ群の変化量(平均値)は-6.7、シャムソフトウェア群は-3.3でした。

このようにしっかりと効果が見られたのが承認につながっています。

まとめ

寝る前にスマホアプリで睡眠改善をする日が意外と近くなりそうです。

早ければ2023年1月にも正式承認される可能性があるそうなので、受診したら薬でなくアプリを処方されるかもしれませんね。