コラム2022/11/24
消毒用アルコールは70%が良いってほんと?
消毒用エタノール(アルコール)は70%で作られるのが一般的です。
なぜ70%がよいのでしょうか。
今回は、なぜ70%が勧められているのかのお話させていただきます。
なぜアルコールで消毒できる?
アルコール(エタノール)の分子は細胞膜に穴をあけることで、細胞を破壊・死滅させることができます。
またエタノールには細菌のたんぱく質を変性させる効果があります。
これにより、たんぱく質は一部機能を失うのです。
効果が高いのは70~80%
エタノールが最も消毒効果を発揮するのは70~80%のときです。
というのも100%近いエタノールは、たんぱく質への変性効果は高いですが、たんぱく質を瞬時に変性させると、細菌は新たに膜をつくってしまい、エタノールが浸透しにくくなってしまうのです。
70%未満のエタノールも殺菌効果はないので、70~80%が一番適しているといわれています。
アルコール消毒液の効果について
アルコール消毒液の効果についてケースごとにお伝えします。
手指を消毒するとき
アルコール消毒液というと、お店やオフィスなどの施設の前に常備されているもののイメージが強いと思います。
入店・入場時に、アルコール消毒液で消毒するのは、新型コロナ下における世界の新常識といっても過言ではないでしょう。
手指消毒に使うアルコール消毒液は、アルコール度数が70%以上でないと、あまり効果はありません。
また、FDA(アメリカ食品医薬品局)では、エタノール(エチルアルコール)またはイソプロパノールが最大95%含まれているタイプを推奨しているそうです。
アルコール消毒液は、すべてのウイルス・最近に効果があると思っている人もいるかもしれませんが、それは違います。
アルコール消毒液はコロナウイルスやインフルエンザなどのエンベロープウイルスと呼ばれる種類には有効ですが、ノロウイルスなどのノンエンベロープウイルスには効果を発揮しません。
またアルコールは手に付着した一部のウイルスや細菌の消毒・殺菌はできるものの、汚れを落とすことはできません。
そのため、手に付いた汚れを落とすときは、まず流水と石けんでよく手を洗い、その後アルコール消毒をしましょう。
またアルコールにアレルギーがある人や、手指に傷などがある人はアルコールがしみるため、使用を控えたほうがいいです。
アルコールが目の中に入ると危険なので、まだ乾いていない状態の手指を目の近くに近づけるのも危ないのでやめましょう。
周辺にある物を消毒するとき
手指以外にも、使用し終わったあとのテーブルや、触ったあとのおもちゃなど物をアルコール消毒液で除菌・消毒することもあると思います。
この場合、効果的にアルコール消毒するために大切なのが、スプレーを噴射したあとすぐさま拭き取らないことです。
スプレー噴射だけでは、対象物にまんべんなくアルコール消毒液がかかっているか分かりません。
改めて布などを使って、噴射液を塗り広げましょう。
そのとき、同じところばかりを拭くのではなく、すべての場所にくまなく塗布することが大事です。
また布で拭いてしまって、すぐ乾くようでは量が足りません。
最低でも20秒は乾かないくらい、たっぷりの消毒液を塗り付けましょう。
スプレータイプのアルコール消毒液は便利ですが、目に入ったり、引火したりする危険性があります。
特に後者は火災発生の原因となるため、キッチンなどの火の元での使用はやめましょう。
アルコールにアレルギーがある人の代替品は?
新型コロナウイルスが急速に感染拡大している影響から、各店舗への入店時や食事前などのシチュエーションにおいてアルコール消毒での除菌作業が推奨されています。
このような背景のなか、「自身の体質的にアルコール消毒を行うとアレルギー反応を引き起こしてしまう」などの悩みや不安を抱えている人も多くいます。
アルコール消毒によるアレルギー反応に対して強い懸念を持っている人は、以下の消毒液を代用品として使用することをおすすめします。
■ポビドンヨード
うがい薬などにも用いられる消毒薬です。独特のにおいがあり、使用すると肌が茶色くなります。
腎臓への負担や甲状腺機能への影響など、副作用 を考えると頻回な使用は避けたいため、あまりおすすめしません。
■塩化ベンザルコニウム
無色無臭。アルコールに比べて消毒できる細菌・ウイルスの種類が少ないです。
原液のまま使用するとやけどを起こすため、ご自身で希釈する必要があります。
スプレーボトルなどで持ち歩く場合は、購入する薬局で希釈方法などを確認しましょう。
塩化ベンザルコニウムを使用した手指消毒薬が市販されていますが、多くの場合、アルコールも含んでいます。
とくにアルコールアレルギーの人は、使用を避けたほうがよいでしょう。
■次亜塩素酸水
本来は食品添加物として、食品の消毒に使われています。
皮膚や物の消毒にも有効か、どのような使い方が効果的かなど、食品以外への使用についてはわからないことが多く、政府の要請のもとで調査を行っています。
今後アルコール消毒の代替品として、選択肢の一つになるかもしれません。
まとめ
細胞培養などを行う研究室では一般的に使われていた70%エタノールですが、しっかりと意味合いはありましたね。
ちなみに、無水エタノールは保管に注意が必要ですが、ネクタイについたボールペン跡を消したりするのに便利ですよ。
エスケイエス株式会社HP
https://www.nks-wa-hakaru.jp/