コラム2022/11/21
認知症治療薬の選択
認知症には症状軽減と進行遅延を目指す薬剤が使われます。
具体的には4つの薬剤が使われていますが、それぞれどういった違いがあるのでしょう。
コリンエステラーゼ阻害薬
コリンエステラーゼ阻害薬はアセチルコリンの分解を抑えて、シナプス間濃度を高めます。
具体的に使われるのはドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)の3剤で、作用はどれも大差はありません。
しかしながら、副作用には若干の違いがあるため、その違いから薬剤を選択したいところですが、認知症になると内服管理が困難となるため、実際は内服管理の状況を加味して薬剤を選択します。
ドネペジルは寝たきりの患者などに使用すると、むしろパーキンソニズムによる嚥下障害を悪化させるリスクが高いため使用を控えるのが一般的です。
レビー小体型認知症にはアリセプトのみ承認を得ており、少量から慎重に増量して服薬調整を行うのが基本です。
3剤の違い
ドネペジル(アリセプト)
スタンダードな薬剤。副作用として易怒性を高めるリスクがある。内服方法は毎朝1日1回です。
ガランタミン(レミニール)
他の神経伝達物質も増やしてしまうのが特徴で、副作用として胃腸障害が比較的多い。内服方法は毎日朝夕1日2回です。
リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)
少量で効果が優れているのが特徴で、副作用として胃腸障害は少ないですが、皮膚症状が現れやすい。使用法は1日1回の貼り替えです。
メマンチン
メマンチンは進行を遅らせると言われていますが、実際の現場ではMMSEなどの認知テストの点数は低下し続けてしまう場合が多く、進行遅延の期待に乏しいという意見も散見します。
しかし、コリンエステラーゼ阻害薬単独で進行していくケースで併用すると、進行が停滞、または遅延することもあるとのことです。
まとめ
今回は、認知症治療薬の紹介をいたしました。それぞれの特徴を把握して、内服管理などがうまくいっていなければ、薬の選択を考え直す必要があるかもしれません。