コラム2022/11/18
「糖尿病」の名称が変わる!?
皆が知る「糖尿病」という名称ですが、偏見につながるという話が上がっており、名称変更の話が出ています。
患者の9割が不快感を感じている
日本糖尿病協会は7日、「糖尿病」という名称の変更を検討する方針を明らかにしました。
これは患者の大半が不快感を抱いていることなどを踏まえたもので、今後1、2年のうちに新たな病名を提案したい考えとのこと。
日本糖尿病学会とも連携し、具体的な検討を進め予定となっています。
インターネットによるアンケートでは
患者を対象としたインターネットによるアンケート調査(2021年11月8日~22年9月30日実施)によると、回答者1087人の9割が病名に何らかの抵抗感・不快感を持ち、変更を希望する人が8割に上がりました。
「糖尿病」の文言にある「尿」という言葉が持つ負のイメージへの懸念が多かったとのこと。
何が原因になってくるのか
日本糖尿病協会の清野裕理事長は、「糖尿病に対する誤った認識が偏見を助長し、差別を生んでいる」と指摘しています。
具体例として「生命保険や住宅ローンに加入できない」、「就職が不利になった」、「怠け者のような目で見られる」などを挙げた上で、医療従事者やメディアが事態改善に力を注ぐ必要性を強調しました。
現在の動きとしては
日本糖尿病協会は糖尿病に対する偏見を払拭するため、関連する医療用語の見直しに着手し始めています。
「糖尿病患者」を「糖尿病のある人」、「血糖コントロール」を「血糖マネジメント」に変えたり、「療養指導」などの語句の使用を取りやめたりすることに取り組むとしているそうですが、「尿」という文字を無くすわけではなさそうなのがどうなのかなとは思いますね。
糖尿病の種類
現在、糖尿病には1型、2型、妊娠糖尿病、その他といった分類があります。
「1型」糖尿病は、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島と呼ばれる部分にあるβ細胞が障害されてインスリンを産生できなくなった結果、高血糖状態が続き、生存を危うくします。
このため、高血糖を是正し生存するために、注射によってインスリンを補う治療が必要です。1型糖尿病は子供や青年に多く発症します。
一方、「2型」糖尿病は、遺伝的な要因に運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が加わって発症すると考えられていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。
糖尿病患者の95%以上が2型といわれていて、中高年に多く発症します。
2型糖尿病では、インスリンは分泌されているものの、働きが悪くて血糖値が下がらない(インスリン抵抗性)場合や、分泌そのものが減っている(インスリン分泌低下)場合があります。
高血糖が是正できない場合は、薬やインスリン注射による治療を行うこともありますが、まずは運動療法や食事療法による治療が行われます。
「その他」の糖尿病とは、遺伝子異常により発症する場合や、その他の疾患が原因で起こる場合などです。
また「妊娠糖尿病」は、妊娠中に発見された耐糖能異常(血糖をコントロールする機能に異常があり糖尿病に近い状態)のことで、それぞれの病態にあわせた治療法が行われます。
日本小児内分泌学会
http://jspe.umin.jp/public/tounyou.html
まとめ
糖尿病=生活習慣病というイメージが大きくなっており、発症理由が異なる1型などもまとめられての認識になってしまっていると思います。
名称変更を進めるのであれば、皆が分かりやすくかつ分類をしやすいような形にしてもらえるといいですよね。