コラム2022/10/26
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
筋萎縮性側索硬化症とは
身体を動かすために必要な筋力が徐々にやせていき、四肢麻痺、球麻痺、呼吸筋麻痺などを生じる病気です。
介護サービスや在宅医療を要するケースがあるのは、筋力低下により、歩行障害が進行し、歩行補助具や車いすなどを要する生活、または寝たきりの生活を余儀なくされることや、上肢麻痺により、手を使う日常生活動作ができなくなることが発端です。
また、嚥下障害によりの飲みこみがうまくできなくなることで栄養障害や構音障害を招きます。
呼吸筋麻痺も生じるため、呼吸不全をきたし、生命維持も難しくなります。
原因
原因はまだ十分に解明されていません。遺伝子異常、酸化ストレスやグルタミン酸過剰による神経障害など諸説あります。家族性も確認できているが、孤発性に限れば関連性の高い遺伝子は特定できていません。
様々な原因が複合的に絡み合って発症すると言われています。
予後
発症後、2~5年程度が平均生存期間です。これは人工呼吸器を用いない場合で、多くの場合は呼吸筋麻痺による呼吸不全が死因となります。
栄養状態の改善に影響を与える胃瘻造設や、呼吸不全に対してのNPPV(非侵襲的人工呼吸器)、TV(気管切開下人工呼吸器)などの使用があれば生存期間に影響を与えます。
治療
根治を目指す治療方法はありませんが、進行を遅らせる治療薬としてソルゾール(ソルテック)、あるいは点滴注射薬 エダラボン(ラジカット)が使われています。これらは保険適用となっています。
また、症状緩和の対症療法(不安症に対しての睡眠薬や安定剤の使用など)を適宜行うことでIADLやQOLを向上させることができます。
どこまで医療処置を望むのかや介護上の問題など様々な葛藤を生じるため、本人、家族、それを取り巻く医師、介護従事者などが心身両面でサポートをしていく必要があります。
まとめ
今回は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)についてお話しました。在宅医療が導入されるケースも多くなり、担当者となっているケアマネさんもいらっしゃるかと思います。本人、家族の葛藤が生じることの多い病気なので、どういった病気なのかをしっかりと理解して周りの人間が正しいサポートをしていくことが求められます。