コラム2022/10/25
仕事で役立つコミュニケーション術~アサーションスキルを身に着けよう~
アサーションって??
アサーションとは、「相手を尊重しながら自己主張する」コミュニケーションスキルを指します。自己主張ばかりし、相手の意見を尊重しなければ「自己中心的な人」、「わがままな人」と認識されてしまいます。逆に、自分の意見を言わず、相手の主張ばかりを優先してしまえば、「優柔不断な人」、「他者本位の人」と認識されてしまいますね。良好な人間関係を構築するためには、自分の気持ちを表現するとともに、相手の気持ちも大切にしなければなりません。
アサーションとはまさにその両立を実現するためのコミュニケーションスキルです。
自身のタイプを知る
具体的なアサーションの習得術の前に、まずは自身のコミュニケーションスタイルの認識をしてみましょう。アメリカの心理学者ウォルビィはコミュニケーションを3つのスタイルに分類しています。
アグレッシブ型
考え方が自己中心的で相手の気持ちや意見を尊重せず、自分の考えを主張して相手を攻撃するタイプ。自己主張ばかりなので、自分の考えを無理やり押し付けてしまいます。
突然しかりつけたり、相手のミスをみつけると嬉々として攻撃し始めるなど、自分の思うように物事を進めようとするため周囲の人は強いストレスを感じてしまいます。
ノンアグレッシブ型
自分を後回しにしたり、他社の主張を優先するタイプ。相手に反論されると萎縮して自分の意見が言えなくなり、とりえず人に合わせてしまう傾向があるため、常にストレスを感じている可能性があります。
後になってから不満を漏らしたり、本来伝えなければならない意図が相手に伝わっていないなど結果的に自身にも相手にも不利益をもたらしてしまうことがあります。
アサーティブ型
自分の考えや気持ちを正直に伝えながら、相手の反応も受け止めるよう努めるタイプ。先にあげたアグレッシブ型とノンアグレッシブ型のちょうど中間といえるタイプです。相手との主張の相違があっても、そこから合意点を見つけていくことができるので、自身にも相手にもストレスの少ないコミュニケーションをとることができます。
DESC法
では具体的にアサーションスキルを実践するためにはどうしたらよいのでしょうか。まずは「DESC法」という基本の型を身に着けることが一般的です。DESC法は「Describe(描写する)」、「Ecplain(説明する)」、「Specify(提案する)」、「Choose(選択する)」の4つの英単語の頭文字をとっています。この基本の型を身に着けることで自然とアサーティブな考え方が身につくようになると言われています。
Deacribe(描写する)
相手の行動や解決しようとする問題の状況について客観的に描写するという意味を持ちます。このフェーズで大切なことは「客観的か具体的であること」と「相手への意見や自分の意見を含まず事実のみを伝えること」です。
<例>
事実のみ:
「お問い合わせしていた件について、回答をいただけていません。」
事実ではない憶測:
「お問い合わせした件について回答がないのは忘れていたからですよね。」
Explain(説明する)
Describeで描写した客観的事実に対して、自分の主張や気持ちを伝えるフェーズ。このフェーズで大切なことは「感情的にならない」、「攻撃的にならない」、「相手の気持ちに共感すること」です。
<例>
気持ちを説明:
「お忙しい中だとは思ったのですが、回答がないので、不安になりました。」
気持ちを説明していない:
「回答がないので、ぞんざいに扱われたと感じました。」
Specify(提案する)
状況を変えるための具体的かつ現実的な代替案を提案するフェーズ。このフェーズで大切なことは「抽象的な要求にならない」、「現実的であること」、「相手を精神的に責めるようなことを言わない」ことです。
<例>
具体的な提案:
「回答が遅れそうなときは、事前に連絡を頂けませんか。」
具体的でない提案:
「もっと真剣に考えてくれませんか。」
Choose(選択する)
提案について出たYES、NOのそれぞれに対して次にどうするかの選択肢を用意し、その後の自身の行動を示します。このフェーズで大切なことは「再びSpecifyに戻らないようにする」ことです。
<例>
選択肢とその後の自身の行動を示した例:
「事前連絡があれば待ちますが、事前連絡がなく期日までに回答がなければ、対応不可と判断します。」
Spcifyに戻ってしまった例:
「事前連絡があれば待ちますが、事前連絡がなく期日までに回答がなければ、代わりに○○さんに問い合わせさせて下さい。」
まとめ
今回は、アサーションスキルについてお話をしました。円滑なコミュニケーション、良好な人間関係の構築に非常に有益なスキルなので、ぜひ習得を目指してみてください。また、ノンバーバル(非言語)コミュニケーションやロジカルシンキングを意識することも大切なので、併せてチェックしてみてくださいね。