コラム2022/09/09
モルヒネ製剤の注意点~疼痛管理と副作用~
モルヒネ製剤の注意事項
癌の疼痛コントロールに使用されるモルヒネ製剤は様々な剤形があり、現在ではできるだけ簡単な方法で使用できるよう工夫されています。
麻薬なので使用すると中毒になるのでは?とご心配される方もみえられますが、正しい使用方法を守れば中毒になることはまずありません。
しかし、鎮痛効果がある一方で、様々な副作用もあるため、多くの場合はモルヒネ製剤の処方に合わせて、副作用を予防するための薬も投与されます。
また、鎮痛の補助薬として、「抗うつ剤」や「抗不安剤」、「ステロイド剤」などが使用される場合があります。便秘や吐き気、眠気などの副作用と思われる症状がみられた場合は直ちに医師や看護師、薬剤師に報告するようにしましょう。
さらに、この薬は決められた時間に規則正しく服用・使用することが特に重要で、素人判断で服用・使用を中止したり、量を変更したりしてはいけません。
飲み方の注意事項として、錠剤・カプセル剤などは噛んだり砕いたりせずに飲んでください。
パッチ剤は3日ごとに貼り替えて使用します、それ以外にも使用上の注意点があるかと思われますので薬剤師からよく説明を受けて使用しましょう。
持続性の注射や点滴で使用している場合は、“詰まり”や“漏れ”に注意し、もしそれらを発見した場合はただちに医師や看護師に連絡をとるようにしてください。
また取り扱い上の禁忌として、投与され余った分はゴミ箱に捨ててはいけません。必ず医師や薬剤師に処分してもらうようにしてください。また、他人に痛み止めとしてあげてしまったりしてもいけません。取り扱い上のルールをきちんと守って使用しましょう。
起こりうる副作用とその対策
疼痛コントロールのための薬を使用すると、様々な副作用が現れることがありますが、それらにはきちんとして対策方法があります。
症状①「便が硬くなり、便秘気味になった」
<対策> 便通を整える薬を使用します。
症状②「吐き気や胃のムカムカ」
<対策> 吐き気止めや胃の働きを改善する薬を使用します。生活上の注意事項として匂いの強い食事や、刺激のある食事は避けるようにしましょう。
症状③「日中の強い眠気、傾眠」
<対策> 服用を続けていくうちに症状が軽減されていくことが多いが、「一日中寝ている」、または「一日中覚醒が悪い」という場合は医師や薬剤師に相談して下さい。
症状④「強い不安やイライラ」
<対策> こちらも服用を続けていくうちに症状が軽減されることが多いが、症状があまりにも強い場合は抗不安剤などを使用します。
症状⑤「排尿障害、排尿に時間がかかる」
<対策> 排尿を促す薬を使用します。
症状⑥「呼吸が浅い、弱いように感じる」
<対策>服用を始めたときや、薬の変更があったときに、呼吸が強く抑えられた可能性があります。症状を確認したら直ちに医師に連絡してください。
まとめ
今回は、モルヒネ製剤の注意事項についてお話しました。
「疼痛コントロール」は医師や看護師が管理していく必要がありますが、関わる方々が起こりうる副作用について正しい知識をもっておくことでスピーディーに対応することができ患者さんのQOLを高めるための手助けができます。
より良い在宅生活を送って頂くために正しい知識を身につけておきたいですね。