MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

疥癬(かいせん)について

コラム2022/08/12

疥癬(かいせん)について

疥癬(かいせん)とは

疥癬は、人の皮膚に寄生し繁殖する疥癬虫(ヒゼンダニ)による皮膚病です。

人から人へと感染してしまうのが特徴です。

このダニの大きさは0.2~0.4ミリで非常に小さく、肉眼での確認はできません。

生存期間はオスで約4週間、メスで約12週間です。

メスは、皮膚の「疥癬トンネル」と言われる穴で産卵し、卵は2~3日で成虫になります。

そして、トンネル内で2~3日に1回、2か月間にわたり産卵を続けると言われています。

オスは皮膚の表面をうろつき、一時的に穴を掘りますが、交尾後に死にます。

症状

疥癬感染の確定診断をおろすためには、皮膚から成虫か虫卵を見つけることが必要となります。専門の皮膚科医を受診すれば、湿疹の場所や形態で診断がつく場合もあります。

疥癬虫がついてから約1か月の潜伏期間を経たあとに、へその周りや太もも。腕の内側やわきの下、指の間に赤い発疹が出てきます。

特に夜間、眠れないほどの激しいかゆみを生じます。

隔離の必要性について

疥癬は、感染している人との接触か、リネン類からしか感染しません。

感染の予防手段をきちんととることができれば、隔離の必要はありません。

まず、介護者が媒介とならないように、注意が必要です。

もし、訪問などで感染している人と接触した後は、手洗いを徹底しましょう。

水道水と石鹸で十分に手洗いすれば、疥癬虫や卵を落とすことができます。

予防と対策

疥癬虫は熱に弱いのが特徴で、50℃の温度に10分間いると死滅します。また、人から離れると長くは生きていられません。介護者が媒介となって感染が広がらないように、手洗いを徹底しましょう。

前腕部にオイラックスクリームを塗布しておくことも有効な手段です。

デイサービスや施設での対策として、感染者が使ったタオルやシーツ類は、ほかの利用者が使わないようにしましょう。

入浴の時は下着類をすべて交換し、ビニール袋に入れて、家に持ち帰ってもらいます。家に着いたらすぐに選択してもらうよう声掛けをしましょう。

洗濯は通常の方法で問題なく、熱湯などをかける必要はありませんが、最初に乾燥機にかけることは有効です。

毛布や布団は日光消毒をして、よく叩きましょう。部屋の掃除も丹念に行うようにしてください。

入浴に関しては、高めの温度にする必要はなく、通常のお風呂で十分ですが、他の方が同じ浴室を使用する場合は疥癬患者の入浴は最後にして、入浴後の浴槽は洗剤で洗い、お湯で流した後、乾燥させてください。消毒まではする必要はありません。

入浴後は医師から処方されている軟膏を、頭、顔以外の全身に“ぬり残り”がないように塗布してください。

軟膏の塗布を毎日2~3回、2週間ほど続けると完治します。

まとめ

疥癬には通常疥癬と角化型疥癬(ノルウェー型)とがあります。

通常疥癬の場合はダニは数十匹と少ないですが、角化型になると100万~200万匹と桁違いの数になってしまいます。

寝具などは日ごろから清潔を保つようしっかりと声掛けやサポートを行うようにしましょう。