コラム2022/07/13
便秘の原因と対処法
認知症の高齢者の場合、便秘による不快感をうまく伝えられなくて、不穏になることもよくありますね。相談員が面談時に最終排便の確認をすると、「1週間以上出ていない…」なんてこともしばしば…。
今回は、そんな便秘の原因と対処法についてお話致します。
便秘の原因
便秘の原因は、高齢者の場合と、一般的な場合とに分けて考えられることがあります。
高齢者の場合では、体内の水分が少ないために便が硬くなり、便秘を引き起こしがちになります。また、身体をあまり動かさないため、腸の運動は活発ではなくなってしまいますし、寝ながらのオムツ内排便の場合は、うまく腹圧をかけられないため排便がうまくいきません。
食事内容も便秘を引き起こす原因となります。食事が肉類に偏ると、便の成分になる食物繊維が不足する場合があります。
また、環境面も排便に影響を与えます。私たちでも、旅行行った場合など環境が変わると便が出にくくなることがありますね。
このほか、薬の副作用で便秘が引き起こされているということも考えられます。たとえば、がんの疼痛コントロールのために使われる麻薬で、便秘が起こることはよく知られていますね。この場合は通常の下剤も一緒に処方されます。
便秘を引き起こしやすい薬
便秘の原因となりやすい薬には下記のようなものがあります。
■抗がん剤
ビンクリスチン、ドセタキセル、ビンデシン、パクリタキセル、ビンブラスチン
■鎮痛剤
リン酸コデイン、消炎鎮痛剤、モルヒネ製剤、塩酸モルヒネ、オプソ、MSコンチン、オキシコンチン、ソセゴン、レペタン
便秘への対処法
先述した通り、ベッド上に生活が多い高齢者が、そのまま寝ながらの排便をしようとしてもうまく腹圧をかけることができず便がうまく出せません。そんなときは、排便を促す薬の使用を考える前に、オムツを外し便器に座らせて排便をさせるための工夫を考えるべきです。
便秘しがちな高齢者には、「便意を感じたら、とにかく便器に座らせる」ことが大切なので、毎朝、習慣として便器に座らせるなどすると良いでしょう。
また、水分を十分に摂ることも大切です。便秘でも水分を摂りたがらない高齢者も多いため、食事に汁物を多くしたり、薬を飲む場合に多めに水分を摂取するようにうながすなどの工夫が必要です。
運動をして腸の働きを活発にすることも重要です。しかし、中にはADL的に安全に運動をすることができないという方もみえられるので、そういった方には腸をマッサージしてあげることも有効です。その際は、大腸の走行に合わせて「の」の字を書くように、右回りに下腹部を擦ってあげましょう。
冷えで腸の動きが緩慢になっている場合もあります。そういった場合は暖めることも有効です。
以上のようなことを試してみても、便秘が解消されない場合、下剤や坐剤、浣腸などで排便コントロールを考える必要があります。
まとめ
今回は、便秘の原因と対処法についてお話しました。
すぐに薬に頼るのではなく生活の中の工夫で解消できないかをまずは考えてみましょう。