在宅医療の基礎知識2022/06/27
退院前カンファレンスについて
患者様の退院前にカンファレンスを行う場合がありますが、この「退院前カンファレンス」は何のために行われるのでしょうか。
退院時に在宅医を調整する場合の退院前カンファレンスにフォーカスをあててお話をさせて頂きます。
患者や家族が感じる不安の解消
多職種による退院前カンファレンスは、がん患者の再入院率を減少させるとともに、PS(Parformannce Status)を維持させることが報告されています。
また、病院医療者と在宅医療者の緊密性(連携がとれている事)を感じると、患者・家族の在宅療養移行時における辛い気持ちやコミュニケーションの改善の必要性が減ることも報告されています。
退院前カンファレンスやカンファレンス後のベッドサイド訪問などで、訪問看護師や訪問診療医がより見える形で連携を示すことは、自宅での療養を迷っていたり、退院後の生活に不安を感じていたりする患者や家族にとって有用な介入となります。
退院前カンファレンスでチェックすべきポイント
まず第一に、医療における“情報の継続性”という視点において、退院前カンファレンスは大きな意味を持ちます。
がんまたは悲がんのターミナルケアにおいて、前医で行われていた治療内容、治療方針、予後の説明、患者の理解すべてが継続されていなくてはなりません。
そのためには書面での情報提供のみでは不十分であり、face-to-faceのコミュニケーションが大切です。
また、在宅医療をあまり理解していない患者や家族、在宅医療に関わった経験が少ない病院スタッフも少なくないため、退院前カンファレンスで初めて家の改修や、訪問看護の導入を決めるということもあるかもしれません。
退院前カンファレンスで確認すべきチェックポイントは、治療を継続したいのか、緩和ケアを望むのかなどの治療方針、どこで最期を過ごしたいのか、どんな場合に入院したいのかについての本人と家族の意向の確認、24時間の看護や介護の体制をどうするのか、という点です。
退院前カンファレンス開催時の注意点
退院前カンファレンスには多職種の方々が多忙な中、時間を合わせて参加します。
そのため、まずは事前の準備が必要です。
具体的には、患者や家族の懸念や希望、望む療養・看取りのスタイルなどいついて事前に聴取し、共有しておき、1時間以内で終わるようにする必要があります。
また、医療の専門職ではないケアマネージャーさんなども参加する場合、皆が共通理解をし、共通の目標に向かって協働できるようなカンファレンスにするため、できる限り医学用語や略語などの使用はさけるようにしたほうがベターです。
まとめ
今回は、退院前カンファレンスについてお話をさせて頂きました。退院前カンファレンスでは遠慮して中々発言ができないという方々もまだまだ多いという報告があります。
患者・家族が安心して自宅療養を行うためのカンファレンスです。私たちがしっかり連携して意見交換を行っている姿が安心感を与えると思って、遠慮せず発言するようにしましょう。