MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

嘔吐・吐き気があるときの原因は?

コラム2022/06/15

嘔吐・吐き気があるときの原因は?

嘔吐・吐き気があるときの原因は?

“吐く”原因は様々

吐く原因として最も多いのは、胃腸などの消化器系に異常がある場合です。

胃炎、胃潰瘍、腸閉塞、肝炎、膵炎、胆石症などの病気が、嘔吐の原因の7~8割を占めます。

胃に原因がある場合は、症状を抑えるために、胃酸の分泌を抑制したり、胃の動きを活発にさせる薬が効果的です。肝臓の障害ならば、肝庇護剤がしばしば使用されます。

肝臓、胆のう、膵臓は、症状が進行していれば診断は容易ですが、食欲の低下や倦怠感だけのこともあるので、注意が必要です。

腸閉塞を起こしているときも吐き気を伴いますが、軽いと見過ごされることがしばしばあります。

ほかには、血圧が少し上がっただけで吐く人がいますし、腎臓機能が低下した尿毒症、心筋梗塞、髄膜炎や脳出血などの脳の障害、緑内障による眼圧の上昇、メニエール病によるめまいなどでも吐き気が出現します。

さらに気を付けなければならないのは、薬そのものが吐く原因になりうるということです。薬によっては嘔吐・吐き気が副作用として起こりうることを念頭に置いておきましょう(ジギリタス製剤、気管支拡張剤、痛み止めやステロイドホルモンなど)。

また、女性の場合は妊娠による吐き気(つわり)を忘れてはいけません。胎児に影響する薬も多いので、常に念頭に置いておく必要があります。

このように原因として考えられるものが多岐にわたるので、診断には幅広い知識が要求されます。

吐血した場合

吐血した場合は緊急性があります。約半数は胃潰瘍などからの出血で、量が多いときは入院して絶食することになります。重症の場合は、単に止血剤を投与するだけではなく、抗胃潰瘍薬を点滴し、内視鏡や手術による止血操作が必要です。

肝硬変による、食道静脈瘤の破裂で出血した場合は、命に関わるので迅速な処置が必要です。しかし、血小板の減少を合併している場合が多いので、止血は困難です。

感染症の場合も考えられる

近年、心筋梗塞や脳梗塞の再発防止、心房細動などの不整脈治療に、血液が固まりにくくなる薬が頻用されているので、出血している場合には、休薬が必要です。

体調をくずしたときに、吐き気がしてくるのは正常な反応で、いろいろな疾患で起こってきます。

同じ吐き気でも、原因となっている病気によって、治療法は全く異なります。痛みや熱、めまいなどの随伴証に注意して、重篤な病気が隠れていないかを早期に診断し、最適な薬と治療を選択することが最も重要です。

例えば、腸閉塞の場合、詰まった内容物を取り除かずに、胃薬だけ投与していても吐き気はおさまりません。胃腸にウィルスなどが感染して起こる感染性胃腸炎では、嘔吐、発熱、下痢がおこりますが、これも下痢止めだけを投与していたのではかえって逆効果です。

吐き気は治るのに時間がかかる場合もありますが、的確な診断で原因がはっきりしていれば、すぐに改善しなくても安心して治療を続けられます。

まとめ

嘔吐や吐き気はご利用者様に限らず、皆様自身や皆様のご家族、職場の同僚などにも現れる症状です。

場合によっては重篤な病気が隠れている場合も考えられるので、症状によっては受診をしてしっかりと検査を受けましょう。