コラム2022/06/02
糖尿病とお酒の関係性
日々生活をしていると、「今更聞きにくいな」とか「調べるの面倒だな」とか思うことありませんか?
このコーナーでは簡単に、なんとなく知っておけば役立つであろうお話をQ&Aで紹介させていただきます。
Q.糖尿病患者ですが、ご飯を食べなければお酒を飲んでも大丈夫でしょうか?
いいえ。血糖コントロールや神経障害や肝機能障害など合併症の程度によって、医師より飲酒が許可されます。
アルコール依存症の人は「禁酒」、それ以外の健康な人では「節酒」が健康寿命を延ばします。
この場合の「節度ある適度な飲酒」とは、1日当たり20g以下となります。
糖尿病患者さんの中には、「夜はお酒を飲むので、ご飯は食べない」という人がいます。
これは、1回に摂取するカロリーで食事を計算している人にみられがちな勘違いです。
アルコールを飲んでもよいかどうかは、血糖コントロールと神経障害など合併症の程度によって決まっています。
血糖コントロールが悪い時(HbA1c7%未満)には飲酒は禁止です。
また、アルコールを分解する際にビタミンと糖を消費します。インスリン注射を打っている人では、ワイン3杯など多量飲酒後は、翌日の午前中などに低血糖になるリスクが高まることが知られています。
そのため、低血糖を予防するために適度な炭水化物を含む食品をとっておくことが大切になります。
次に注意してほしいのは神経障害などの合併症がないかということです。
多量飲酒は神経障害を悪化させることが知られています。
糖尿病神経障害があるかどうかをチェックしてもらって下さい。
また、多量飲酒は肝機能障害の原因となり、血糖を悪化させます。
一方、糖尿病では体重管理が重要であることは言うまでもありません。
アルコールは意外と高カロリーです。
患者さんのなかには、お酒はそれほどカロリーが高くないと思われている方もおられますが、缶ビールは500mLで200kcal、焼酎は水割りコップ1杯で160kcal、日本酒は1合(180mL)で200kcalと、実際は高カロリーです。
例えばオレンジジュースが200mLで84kcalであるのと比較すれば、お酒は倍以上のカロリーがあることがわかります。
「アルコールは『エンプティカロリー』だから、カロリーのことは気にしなくてよい」と勘違いしている人もいます。
この「エンプティー」とは「空っぽ」という意味なのですが、この「空っぽ」とは「カロリーがない」のではなく、「栄養素が乏しい」という意味です。
これらのことを総合して、医師は患者に飲酒の許可を与えます。
かかりつけの先生に「自分の今の状態や飲んでいる薬で、お酒を飲んでも大丈夫ですか?」と尋ねてみて下さい。
いいアドバイスがもらえることと思います。
まとめ
酒は百薬の長とも言われますが、何事もバランスが大事です。
かかりつけ医がいる場合は一度相談してみた方が安心が得られると思いますよ。