MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

アンガーマネジメント~怒りとの付き合い方~Part2

コラム2019/07/17

アンガーマネジメント~怒りとの付き合い方~Part2

アンガーマネジメント~怒りとの付き合い方~Part2

「怒り」の本質

一般的にネガティブな印象を持ってしまう「怒り」ですが、人間は身の危険にさらされたり、傷つけられそうになった時に「怒り」が生まれ、その「怒り」を持って身を守ろうとする防御本能の感情と言われています。

怒りは高いところから低いところへと流れる

「怒り」は力の強いところから力の弱いところへ流れるという性質があります。例えば、上司から部下の関係性や親から子の関係性など、高低の関係性が強ければ強いほど、生じやすいといわれています。

「怒り」は伝染する

家族や同僚など、近くの人がイライラしているのを見て、自分までイライラしたことはないですか?これは情動感染と呼ばれ、喜怒哀楽の感情は周囲に伝染するといわれています。
自分自身が「怒り」の震源地にならないように注意することが大切です。

身近な対象ほど強くなる

家族に対して「何度言っても直らない」とイラっとしたことはありませんか?「怒り」は身近な対象ほど強くなる性質があります。身近な相手ほど、「コントロールできるはず」だという思い込みがあるからといわれています。長く一緒にいる人だとしても、相手は自分とは異なる人間であり、違う考えや価値観を持っています。たとえ身近な相手でも、言わなくてはわかってもらえない、思う通りにはならない存在なのだと考えましょう。

行動を起こすモチベーションにもなる

「怒り」は強いエネルギーをもっているため、非建設的な行動のエネルギー源になってしまうこともあります。一方で、建設的な方向へと向け、多大なる功績を残している方もいます。例えば、青色発光ダイオード(LED)の開発で、2014年のノーベル物理学賞を受賞された中村修二氏は、研究の原動力について「アンガーだ。今も時々怒り、それがやる気になっている」と会見で述べています。また、スティーブ・ジョブズや松下幸之助、孫正義など、いずれも偉大な経営者ですが、一説によれば、アンガーマネジメントが非常に巧みだったといわれています。

「怒り」をコントロールするには?

カッとなったら6秒待って!

「怒り」のピークは長くて6秒と言われています。ですから、カッとなって暴言を吐く、怒鳴る、暴力を振るうなど衝動的な行動に移る前に6秒だけ待てば、怒りにまかせた行動をすることなく、自分を取り戻せるということです。

「べき」の三重丸を考える

人それぞれ価値観や考え方があるため、「~であるべき」など「べき」が異なります。この「べき」を意識することで人と関わる境界線が明確になってくるでしょう。三重丸の一番中心の丸は、自分と同じ「べき」。許容範囲2ですね。次の丸は自分とは違うが許容範囲であるもの。最後の丸は許容できないゾーン3となります。アンガーマネジメントでは2と3の境界線を「怒る・怒らない」として線引きできるようになることが重要です。誰かとともに生きるということは、お互いの境界線を知り、接していくことです。そのため、大切なのは、少し考え方を緩めて、さまざまな「べき」があるものだと認めることとなります。

怒りの元とストレスの原因を表で整理する

見える化して整理をすると思考の整理ができ、自分ができること、できないことの見極めができるようになります。それによって自分がコントロールできないことへの過剰な怒りがなくなり、どう受け止め、どうしたらいいのか、解決思考で考えて行動できるようになります。

Part2まとめ

今回は「怒り」との向き合い方についてご紹介させていただきました。「怒り」の感情に意識的に向き合うことで、新たな「気づき」になれば幸いです。かくいう私も、最近、夫婦間の子育て問題について、夫婦間の「べき論」を意識してみました。まずは、お互いの「べき論」を認識することで、百点満点とはいわないまでも、少なくとも、相互理解にはつながっていると感じております。ぷんぷんし合うこともままありますが…。

次回は「怒り」をコントロールする取り組みについてお伝えできればと考えています。