コラム2022/05/10
住環境を整えて血圧変動予防を
日々生活をしていると、「今更聞きにくいな」とか「調べるの面倒だな」とか思うことありませんか?
このコーナーでは簡単に、なんとなく知っておけば役立つであろうお話をQ&Aで紹介させていただきます。
住環境の改善で、血圧を下げることができるのでしょうか?
断熱性や気密性を高めるといった工夫により、改善をはかることが可能です。
心筋梗塞や脳梗塞といった疾患の発生は、季節によって変動することが知られており、特に冬場に増える傾向にあります。
血圧のみを測った疫学研究でも、冬期に血圧上昇が認められます。
冬は寒さによって血管が収縮し、血圧が上がりやすくなるためです。従って、断熱などによる改修で室内の温度が上がれば、血圧にもよい影響があると考えられます。
実際に、東京都健康長寿医療センター研究所などのチームによる研究では、1970年代に建てられた集合住宅において、窓ガラスの複層ガラスへの変更や壁に断熱材を入れるなどの改修で断熱性や気密性を高めることで、冬場の床の温度が3度ほど高くなり、研究参加者(平均68.8歳)の血圧が下がったと報告されています。
また、室温が家庭血圧に与える影響については、オムロン ヘルスケア株式会社、慶應義塾大学理工学部、自治医科大学循環器内科学部門、OMソーラー株式会社による共同研究で、とくに「足元付近の室温」に関する検討が行われています。
その結果、床からの高さ1.1mの室温が10度下がると血圧は5mmHg上昇し、高さ0.1mの室温が10度下がると血圧は9mmHg上昇することが認められました。
つまり、室温全体を高めることよりも、足元を冷やさない工夫をすることで、より効果的に血圧の上昇を押さえることができると考えられます。
また、同研究では断熱性能が低い住宅の居住者は、平均血圧が高いことも認められています。
血圧値が高い方で、居住環境を見直す余地がある場合は、その補修も有効な手段ではないでしょうか。
まとめ
住環境を整えることで血圧変動にも良い影響があるようですね。
住宅改修でできることに断熱材を入れることが含まれるかはわかりませんが、合わせて検討してみるのも良いかもしれませんね。