コラム2022/04/14
SDGsを自分事として考えるために
新品のままで一人当たり年間約15着以上の服が廃棄されている現実
日本では1年間で供給される新しい衣服の量が約38億点。
一方、消費者が購入するのは約20億点と言われています。
差し引きで18億点の服が、誰の手に渡ることもなく新品のままで廃棄されています。
人口で割ると、一人当たり年間約15着以上にも上ります。
大量廃棄の背景には、在庫の管理コストよりも廃棄の方がコストが安く抑えられる、そしてブランド価値を守るために売れ残った商品の安売りを避けたいというアパレル企業の思惑があります。
こうしたアパレルの大量廃棄がもたらす環境破壊も深刻化する一方です。
Tシャツ1枚をつくるために必要な水の量は?
衣服の生産に必要なコットン(綿)を栽培する際には、大量の水を消費します。
Tシャツ1枚を作るためだけになんと約2700リットルもの水が必要となります。。
一人当たりの飲料水消費量に換算すると約5年間分にもなります。
鶏肉1kgを生産するのに必要な穀物の量はトウモロコシ換算で鶏肉4kg、豚肉6kg、牛肉11kgの穀物が必要
飼料穀物を生産するためには、広大な土地が必要となります。
世界の農地のうち75%~80%は家畜が食べる飼料を生産するために使用され、家畜を放牧したり穀物を生産したりする土地を確保するために、年々森林破壊も深刻化しています。
森林破壊の原因の約8割は、畜産業などの工業型の食料システムによるものとされています。
また、飼料穀物を育てるためには大量の水が必要です。
1kgのトウモロコシを生産するためには、灌漑用水として1800リットル。
牛は穀物を大量に消費して育つため、牛肉1kgを生産するためには、その2万倍の2万リットルの水が使われる計算になります。
スマホやデジカメ、ゲーム機などに使われるレアメタルは武装勢力の資金源
1996年から始まったコンゴの紛争は、反政府勢力や周辺諸国を巻き込み、累計600万人以上の犠牲者を出しています。
この犠牲者数は第二次世界大戦後の紛争としては最大であり、「アフリカの世界大戦」と呼ばれています。
これまで武装勢力が資金源としてきたのが、コンゴ東部で産出される鉱物資源です。
紛争地域で豊富に産出され、武装勢力の資金源となり紛争に加担する鉱物は「紛争鉱物」と呼ばれます。
「タンタル」と呼ばれる鉱物資源は、スマートフォンやデジタルカメラ、ゲーム機器などに使われるコンデンサをつくるために必要なレアメタルです。
コンゴ産出の紛争鉱物の使用を規制する世界的な動きは生まれていますが、
実際には各地で産出された他の鉱物と混じり合うため、サプライチェーンの下流に位置する企業が、それをすべて遡って生産地を特定することは極めて困難です。
したがって、紛争鉱物が全く関わっていない電子機器を選ぶことは、現実的にはとても難しいのが現実です。
資源の呪縛「資源がないから貧しい」ではなく、「資源があるから貧しい」
石油や鉱物などの天然資源が豊富に産出されるアフリカの国々では、資源採掘に関わる一部の権力者たちが莫大な富を蓄えています。
一方で大多数の国民は、その恩恵を受けることができません。
そうした国の為政者は、資源で国家の財源を確保できるため、国民から税金を集める必要がなく、ゆえに、公共事業を通じて雇用を創出したり、教育機会を拡大するインセンティブが働きません。
さらには、資源以外の産業を育てる必要もないので、市場が空洞化し、雇用も生まれない。
このように資源が豊富に存在するほど、逆に産業の未発達と経済成長の遅さ、貧困の深刻化に悩まされるという現象を「資源の呪い」といいます。
アフリカは「資源が豊富なのに貧しい」のではなく、「資源が豊富だから貧しい」のです。
こうして大多数の国民が自ら富を生み出す手段を持てず、貧困から脱却できないでいます。
まとめ
社会は極めて複雑に成り立っており、SDGSの具体的なアクションに落とし込もうとすると、何から手をつければいいのか皆目見当が付きません。
まずは自らの消費行動を自問してみるために、気になったキーワードを検索してみて、まずは自分なりの消費行動の正しいありかたをと向き合ってみるとよいかもしれません。
1990年代の後半、インターネットによって世界が変わったように、2020年代からは、SDGsのひとりひとりのアクションがサスティナブルな新しい時代をひらくのかもしれませんね。