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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

令和4年度より新設「外来在宅共同指導料」(2022年度診療報酬改定)

コラム2022/04/15

令和4年度より新設「外来在宅共同指導料」(2022年度診療報酬改定)

令和4年より「外来在宅共同指導料」が新設されました

基本的な考え方

通院患者のスムーズな在宅医療への移行を推進する観点から、外来医療を担う医師と在宅医療を担う医師が、患家において共同して必要な指導を行った場合について、新たな評価を行う。

具体的な内容

外来医療を継続的に受けている患者が在宅医療に移行するに当たり、患家等において、外来医療を担う医師と在宅医療を担う医師が連携して、当該患者に対する指導等を実施した場合に、在宅での療養を担う医療機関が算定する外来在宅共同指導料1及び外来医療を担っていた医療機関が算定する外来在宅共同指導料2を新設する。

【(新)外来在宅共同指導料】

  • 外来在宅共同指導料1 400点
  • 外来在宅共同指導料2 600点

 

【対象患者】

外来において継続的に診療(継続して4回以上外来を受診)を受けている患者であって、在宅での療養を行う患者(他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム又はサービス付き高齢者向け住宅その他施設等に入院若しくは入所する患者については、対象とならない。)

【算定要件】

  • 外来在宅共同指導料1については、保険医療機関の外来において継続的に診療を受けている患者について、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医が、当該患者の同意意を得て、患家等を訪問して、在宅での療養上必要な説明及び指導を、外来において当該患者に対して継続的に診療を行っている保険医療機関の保険医と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、患者1人につき1回に限り、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関において算定する。
  • 外来在宅共同指導料2については、1の場合において、外来において当該患者に対して継続的に診療を行っている保険医療機関において、患者1人につき1回に限り算定する。なお、当該保険医療機関の保険医が、在宅での療養上必要な説明及び指導を情報通信機器を用いて行った場合においても算定できる。

解説

背景

外来通院中の患者さんが通院困難となった場合に、在宅医療を担う医療機関へ引継ぎが必要となりますが、その引継ぎがうまくいかないと患者さんが不利益を被ることになってしまいます。

また通院が困難となり在宅医療への移行が必要となった場合、65歳以上の高齢者はほぼすべての方が介護保険を使うことになります。その調整内容は、外来・在宅いずれに場においても求められている内容(介護保険主治医意見書移行・ケアマネージャーとの連携など)であることが中医協の資料にも示されています。

こういった連携をスムーズに行うことで患者さんご負担を軽減することにつながるという背景から今回の診療報酬が新設されました。

<診療報酬>

以前より、退院から在宅への移行に関しては「退院時共同指導料」を算定することができていました(在宅サイド 900点/1500点、入院サイド 400点)。

しかしながら、入院していた患者さんがまだ何とか通院可能と判断した場合、再度、その病院に通院、もしくは元々かかっていた医院、クリニックに通院することになりますが、すぐに通院が困難となり在宅へ移行しなければならないことも多くあります。

この場合、これまでは報酬上のフォローがなかった訳ですが、今年度からは「外来在宅共同指導料」を算定できるようになりました(在宅サイド 400点、外来サイド 600点)。

ちなみに、今回の診療報酬の要件に「入院」という文言は含まれておりませんので、地元の病院やクリニックに通院していた患者さんがそのまま在宅へ移行した場合も算定ができる報酬となっています。

<算定要件>

「基本的な考え方」において、「外来医療を担う医師と在宅医療を担う医師が、患家において共同して必要な指導を行った場合」という文言がございます。

ここで問題視されるのが、外来医療を担っていた医師が患者さんのお宅に直接訪問しなければならないのかという点です。

もちろん、訪問することは問題ありませんが、【算定要件】の⑵において、「情報通信機器を用いて行った場合においても算定できる。」とされていますので、ビデオ通話などで対応することも可能だと思われます。コロナの影響や医師の業務負担を考慮して予め用意されている要件のようです。

また、有事の際に、一度だけ通院したことがあるといった場合は算定の要件から外れてしまいことにも注意が必要です。今回の算定要件では「継続して4回以上外来を受診」とされています。

また、「在宅」の定義ですが、「ご自宅」以外はほぼすべて要件から外れてしまっている点が特徴的です。

通常「在宅扱い」とされることの多い施設が外来在宅共同指導料においては要件外となっているため注意が必要です。

「外来在宅共同指導料1」(在宅サイド)においては「在宅での療養上必要な説明及び指導を…文書により情報提供」となっていますので、「第1・3〇曜日に訪問するから鍵を開けてね」といった内容を文書で患者さんにお渡しする必要があります。

まとめ

今回は、2022年度新設の「外来在宅共同指導料」についてご紹介致しました。外来から在宅への移行はなかなかスムーズにいかないケースも多く、悩んでいるケアマネさんや訪問看護さんも多いのではないでしょうか。

今回の報酬改定が患者さんにとって有益に機能することを期待したいですね。