コラム2022/04/05
血液検査~肝臓系検査について~
血液検査の結果からは様々な身体の異常を読み取ることができます。
今回は「肝臓系検査」の項目についてご紹介致します。
肝臓系検査の項目とは??
肝臓系検査の項目はいくつかあります。実は前回ご紹介したアルブミンも肝臓系検査の項目に含まれます。
今回は数ある中でも代表的なAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPについてお話します。
AST(GOT)、ALT(GPT)は肝細胞で、γ-GTP は胆管でつくられる酵素で、いずれも「トランスアミナーゼ」と呼ばれます。肝臓でアミノ酸の代謝にかかわる働きをしています。
肝細胞が破壊されると血液中に放出されるため、その量によって肝機能を調べることができます。
AST、ALT
健康な方の血液中にもみられますが、肝臓に障害が起こって肝細胞が壊れると、血液中に流れる量が増えるため、値が上昇します。
心筋や骨格筋、赤血球中などにも多く含まれているASTと比べて、ALTは主に肝臓中に存在しているため、肝細胞の障害の程度を調べるのに適しています。健康な人ではALTよりASTが高値を示しますが、肝障害の場合、ALTの方が高くなります。
AST(GOT)の基準値は7~38(IU/L)、ALT(GPT)の基準値は4~44(IU/T)です。
高値の場合、急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がんなどが疑われます。
γ-GTP
たんぱく質を分解する酵素で、肝臓、腎臓、膵臓などの細胞に含まれており、これらの組織に障害が起きたり、肝・胆道系に閉塞があると、血液中に流れ出てきます。
したがって、肝臓および胆道系疾患のスクリーニング(選別検査,ふるい分け)としてよく用いられます。
またγ-GTPはアルコールに敏感に反応し、肝障害を起こしていなくても、普段からよくお酒を飲む人では数値が上昇します。ただし健康な人は、一時的にγ-GTPの数値が上昇しても、すぐにもとに戻るので、一定期間禁酒した後にγ-GTPの再検査をすれば、アルコールによる上昇か、肝臓や膵臓などの障害による上昇かの区別は簡単につきます。
また最近では、アルコールに関係なく生じた非アルコール性脂肪性肝炎(アルコールに関係なく肝臓に中性脂肪がたまり、それが原因で起こった肝炎)でも、γ-GTP値が上昇することがわかってきました。
γ-GTPの基準値は男性で80(IU/L)以下、女性で30(IU/L)以下となっています。
高値の場合、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がん、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎、薬剤性肝障害、胆道系疾患などが疑われます。
まとめ
今回は、血液検査の肝臓系検査についてご紹介致しました。
肝臓系の検査項目はご利用者さんだけではなく、皆様自身も気にしている方もみえられるかもしれません。
検査結果をみる機会がありましたら、今回の記事を参考にしてみて下さい。