コラム2022/02/25
高齢者の睡眠障害と睡眠薬
不眠症に悩む高齢者は多くいらっしゃいます。
そうした方々の中には睡眠薬を常用する方も多くいらっしゃいますが、あまり夜遅くなってから服薬すると目覚めが悪く、また筋肉を弛緩させる作用があるため転倒リスクが上がり、注意が必要です。
睡眠障害の種類
一般に、人の平均睡眠時間は約8時間といわれていますが、個人差が大きく、5時間で大丈夫な人もいれば、9時間眠る人もいます。
不眠症は睡眠時間の長さで判断するものではなく、朝起きた際の不快感や、日常生活に差しさわりがあるかどうかによって判断します。
睡眠障害の種類には下記のようなものがあります。
入眠障害
寝つきが悪い状態。このタイプは、一旦寝てしまえば朝までぐっすりと眠ることができます。
浅眠、熟眠障害
眠りが浅く、何回も目が覚めること。高齢者にこのタイプの障害が多く、夜、何回もトイレに行くのは眠りが浅いことにも関係しています。
早朝覚醒
朝早いうちに目が覚め、その後、なかなか眠れないこと。これも高齢者に多い障害です。躁病の人もこの傾向があります。
睡眠薬は安全??
睡眠薬は、副作用を恐れたり、癖になるといって気にする人がいますが、適正に使用すれば十分な安眠が得られる安全な薬です。
現在よく使用されているものは、作用時間によって分けられます。
長短時間型と短時間型は、寝つきの悪い入眠障害に使用し、中間型と長時間型は途中で目覚める熟眠障害や、早いうちに目が覚めてしまう早朝覚醒に使用します。
長時間型は早朝覚醒やうつ病などの、精神的疾患を伴う場合に使用します。
睡眠薬の前にまず生活リズムの改善を
高齢者の不眠対策はまず生活のリズムを作ることから始めます。
たとえ、寝たきりで家から外に出ることがなくても、朝起きたら寝間着から普段着に着替えましょう。
トータル的に一番良いのはやはり通所サービスを利用することです。
外出となればいやでも着替えが必要になりますし、男性なら髭剃りなどもします。
通所サービスでは、家にはない緊張感もあり、普段は会わない人との接触や会話もあり、身体も動かします。
家に帰るとクタクタで、どんな睡眠薬よりも効果があります。
睡眠薬を使用する前にまずは生活リズムの改善を考えてみましょう。
睡眠薬の種類と使用上の注意点
長短時間型
作用時間が大変短く、翌朝の覚醒時の目覚めが非常に良いのが特徴的です。
<薬品名>
・ハルシオン(トリアゾラム)
・アモバン(ゾピクール)
・マイスリー
○副作用
・口が渇く ・倦怠感 ・一過性の記憶障害 ・(アモバンのみ)口中の苦味
短時間型
長短時間型より、作用時間が若干長いですが、翌朝の覚醒時には効果がなくなることが多い睡眠薬です。
<薬品名>
・レンドルミン(レドルバー)
・エバミール
・リスミー
○副作用
・口が渇く ・倦怠感 ・頭痛感 ・一過性の記憶障害
間型・長時間型
薬の効果が長く、翌朝の覚醒時にも残っていることがあります。
<薬品名>
・サイレース(ビビットエース)
・エリミン
・ユーロジン(エスタゾラム)
・ベンザリン(ネルロレン)
・ドラール
○副作用
・頭重感 ・ふらつき ・倦怠感 ・口の渇き
【注意点】
・飲んだらすぐに就寝して下さい
・薬の効果が翌朝以降も続き、眠気やふらつくことがあるので、そのような場合は医師・薬剤師に相談して下さい。
・作用が強くなるので、酒は飲まないでください。
・夜中にトイレなどに起きる場合、ふらつきに注意して下さい。
・継続的に服用していて急に中止すると、治療前より強い不眠症になることがあるので、中止や減量は医師の指示に従ってください。
・飲んだ後、途中で目覚めた時や目覚めた直後の記憶が、一過性で途切れることがあるので注意して下さい。
まとめ
睡眠薬は自己判断で増量減量してしまう高齢者も多くいらっしゃいます。
皆さんの利用者様がそんな状態の場合はすぐに医師に相談して下さい。