コラム2019/06/26
令和の夏はしっかり飲もう!飲ませましょう!!
令和の夏はしっかり飲もう!飲ませましょう!!
夏になるとよく耳にするようになった「熱中症対策」。最近では、熱中症対策グッズもバリエーションが豊富になり、皆様も何か一つは熱中症対策を実践されているのではないでしょうか。その中でも、今回は基本中の基本とも呼べる、「水分補給」に焦点を当ててみようと思います。
高齢者は熱中症にかかりやすい
総務省消防庁が発表した速報値によると、2018年4月30日から8月5日までに熱中症で救急搬送された人は、全国で7万1,266人。年齢区分別では、「高齢者(65歳以上)」が48.2%と半数を占めています。特に、都市部などでは、気密性の高い集合住宅の上層階で深夜に就寝中に発症し、翌朝、亡くなっていることを発見されることがしばしばありました。古い構造の集合住宅では、日中の外気温を構造体であるコンクリートが吸収し、夜、外気が下がったところで暖まったコンクリートから熱が放射されるためです。こうした建物の構造上の問題に加え、エアコン嫌いのうえ、窓を閉め切り換気の悪い居室で休んでいるなど、高齢者自身の環境整備の問題が重なります。
私も若い頃、真夏日にクーラーをかけず眠ってしまい、汗だくで目が覚めるという経験をしたことがあります。頭はクラクラするし、喉はカラカラ・・・。ご高齢者の方々にとって、それがいかに危険かは簡単に想像できますね・・・。
やっぱり大切!水分補給!
高齢者が熱中症にかかりやすい原因は、上記の環境に加え、体温を調節する機能が低下しているうえ、水分の摂取量が少ないことが原因です。
私たちは、気温が上がり暑いと感じると汗をかきます。汗をかくことで体温を調整しているからですね。しかし、高齢になると、発汗機能なども低下するため、汗が出にくくなります。また、私たちは体内の水分不足が進行すると、脳が「のどが渇いた」と信号を出すので、「何か飲まなきゃ!」という状態になりますが、高齢者になるとこの脳の働きが弱まり、体に熱を貯め込んだまま、体内の水分が失われていきます。さらに、高齢者は腎機能も低位化しているので、尿として水分が排出されてしまい、体内の水分はますます不足してしまいます。
どれだけ必要?水分補給!
では、熱中症にならない為には実際にはどれくらいの量の水分を摂る必要があるのでしょうか。
人間は一日で約2.5リットルの水分を排出しています。単純に失った分を取り込むためには一日に2.5リットルの水分補給が必要だという計算になりますね。
実際には、食事からも水分の補給はできるので、食事以外から補給する必要がある水分量は1日に1.5リットルと言われています。
工夫も大切!水分補給!
これはきっと私たちよりも関係者様の方が詳しいかもしれませんね。ただ高齢者に向かって水分補給をしなさいと言ってもなかなか飲んでもらえません。水やお茶などを飲めるよにして目の前に置いてあげたりして、すぐに飲めるようにすると少しぐらいは飲んでくれたりしますね。いつも好きで飲んでいるジュースなどを差し出しても飲んでくれる可能性は高まります。
高齢者になれば持病の薬や、膝や腰痛を和らげるサプリメントなどを飲んでいる人も多いですよね。薬やサプリを飲むときの水を多めに飲むようにしてもらえばだいぶ助かります。「のどが渇いてないから飲めないよ」という時は、アイスクリームやかき氷などの冷たいものを勧めればけっこう食べてくれます。糖尿病などを患っている人には沢山は食べさせられないのが残念ですけど。お茶や味のついた水などでゼリーを作ってあげて食べてもらうのも良い方法。冷やしておけば冷たくて口当たりもいいので、ついついたくさん食べてくれるかも。皆さんが高齢者に水分を補給してもらうために工夫しているアイディアを共有してみたいですね。
今日は敢えて皆様にとっては当たり前であろう「水分補給」について触れてみました。次回のちくさ病院 在宅医療勉強会では、「正しく理解!脱水・熱中症対策」をテーマに開催します。当たり前のことであるからこそ、もう一度振り返ってみて注意喚起をし、暑い夏を乗り越えましょう!