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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

最先端の老化制御研究!「アンチエイジング」対策

コラム2022/02/01

最先端の老化制御研究!「アンチエイジング」対策

「元気に長生きしたい」というのは、誰もが持つ願いでしょう。

高齢化が進む中、「老化」は現代医学の大きな課題の一つとなっており、さまざまな研究が進められています。

何が老化のカギを握っているのでしょうか?

少しでも老化を遅らせる方法は?

最先端の老化制御研究についてご紹介させて頂きます。

生理学的老化・病的老化とは

老化とは、加齢に伴って体や心の機能が低下することを指します。

生理学的老化(肌がたるむ、目が見えにくくなる、耳が遠くなるなど、年齢を重ねると誰にでもある程度起きるもの)と病的老化(病気やけがによるもの)がありますが、両者は明確に区別できるわけではなく、相互に影響し合って寿命などに影響を与えています。

日本人は体力面で若返っている!?

近年、日本では高齢化が進んでいますが、日本人の高齢者は体力面では若返っている、というデータがあります。

1992年と2017年の歩行速度を比べると、2017年の85歳以上の人が歩く速度は、男性では1992年の75歳と同じぐらい、女性では65歳と同じぐらいの速さになっているのです。つまり、歩行速度の観点では、この25年間で男性は10歳、女性は20歳若返ったということになります。

老化制御のカギ、 NDAと長寿遺伝子

老化を制御する方法はないか、さまざまな観点から研究が進められています。

その中で解明されてきているものの一つが、「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)」と「サーチュイン遺伝子」の関連性です。

「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)」とは

NADは、人間が生きるうえで欠かせない補酵素です。

加齢によって減少し、細胞や臓器の機能低下につながることが知られています。

つまり、老化はNADが減少することによって進行する可能性があると考えられ、NADの減少を抑えることができれば、老化も抑えられることが期待できます。

「サーチュイン遺伝子」とは

サーチュイン遺伝子は、「長寿遺伝子」とも呼ばれ、老化と寿命の制御に大きな役割を果たしていると考えられています。

このサーチュイン遺伝子を活性化するとして注目されているのが、前述のNADです。

2013年には、サーチュイン遺伝子を脳で活性化させたマウスにおいて老化が遅れ、寿命が延びたことが報告されました。

NADを増やすことによってサーチュイン遺伝子を活性化できれば、老化が進む速度を抑えられる可能性があるのです。

現段階では、まだ動物実験での成果しか得られておらず、ヒトでも同じような現象が起きるのかどうかは分かっていませんが、ヒトでの研究も既に始まっており、今後の研究結果がまたれます。

老化を遅らせる生活のポイント

NADとサーチュイン遺伝子以外にも、老化のカギを探すための研究は複数ありますが、いずれもまだ実験段階で、医学的に効果が確実なものはありません。

ただ、老化は自分自身の行動によって、ある程度コントロールできる可能性があります。

老化は、遺伝的な要因や生活環境などが複雑に絡み合って進行します。

遺伝の部分は変えられませんが、生活習慣を変えることで、老化をある程度制御できるわけです。

現段階では老化を防ぐ「特効薬」はないですが、地道に生活習慣を改善することが、老化を制御するための最善策となります。

老化を防ぐ生活習慣には「食事」と「運動」の改善が王道

食事

バランスの良い食生活を心がけましょう。

特に、食べすぎ、飲みすぎを避け、「腹八分目」を意識することが大切です。

肥満の男性4名が7週間カロリー制限を行ったところ、サーチュイン遺伝子の量が顕著に増えたというデータもあります。

さらに、タバコは医学的に良いことがありません。

早いうちに禁煙することをおすすめします。

※高齢者も食べすぎ、飲みすぎは禁物ですが、むしろ食事量が少なくなる方が多いため、低栄養状態にならないように気をつけましょう。

体重減少や筋力低下などにつながり、フレイルに陥るおそれがあります。

医師から制限されていない限りは、たんぱく質を意識的に摂取するようにしましょう。

たんぱく質は筋肉を作るために不可欠です。

運動

ウォーキングなどの有酸素運動に加えて、筋トレも大切です。

筋肉は糖の代謝も行うため、筋肉が細くなると糖の代謝が悪くなり、糖尿病にかかりやすくなります。

筋肉は使わなくなるとすぐにやせてしまいますので、運動は習慣として長く続けることが大切です。

また、若いときに始めたスポーツをずっと続けるほうが、高齢になってから新しく何かを始めようとするよりも簡単でしょう。

生涯続けられそうな運動を若いうちに見つけておくとよいでしょう。

まとめ

生活習慣病は血管やさまざまな臓器の老化につながるため、生活習慣病対策はそのまま老化制御に役立つといえるでしょう。

若いうちからの生活習慣が将来の健康に影響します。

老化はまだ先のことだと考えず、若いうちから対策を始めたいものです。