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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

備えあれば憂いなし 停電対策 ~在宅医療編~

コラム2019/06/21

備えあれば憂いなし 停電対策 ~在宅医療編~

備えあれば憂いなし 停電対策 ~在宅医療編~

6月18日22時22分頃、山形県沖を震源とするM6.8(暫定値)の地震が発生し、新潟県村上市で震度6強、山形県鶴岡市で震度6弱を観測しました。
東北電力によると、山形県では鶴岡市、酒田市などで計5000戸が、新潟県では新潟市西区、村上市で計約3200戸が停電しています。

電気で動く医療機器を使っている在宅療養中の方は、日頃どのような備えが必要なのでしょうか。参考: 医学のあゆみ <Vol.239 No.5>「災害時における在宅医療の課題」

在宅医療で電気が必要な医療機器は、主に以下の3つです。

1.人工呼吸器

2.吸引器

3.在宅酸素

1)人工呼吸器

最新のものであれば、停電時に内部バッテリーから電源が供給され、約10時間もちますが、古いものであれば、3~4時間が限度です。

◆対策

・アンビューバック(手押しで空気を送り込む)
簡単ですが、大変です。交代する何人もいなければ現実的な対処法ではありません。

・外部バッテリー
自動車用のバッテリーが使えます(自動車用品店で購入可能)。稼働時間

は種類や使う医療機器によって異なります。

・インバーター
自動車のシガーソケットやボンネットのバッテリーから電気をとる変換機

ですが、定格出力が概ね120ワット以上で人工呼吸器が使えます。(自動

車用品店で購入可能)。吸引器も使っている場合は、250ワット以上のも

のを選べば両方の電力を賄えるでしょう。

2)吸引器

吸引器の多くは内部バッテリーがないので、停電したらすぐに使えなくなります。

◆対策
・「足踏み式」「手もみ式」の吸引器

電気がなくても使える「足踏み式」「手もみ式」を吸引チューブにつなげ

て、人力で動かします。「足踏み式」は数万円しますが、「手もみ式」な

らば数千円で購入可能です。(介護用品のカタログには必ずあります)

3)在宅酸素

バッテリーがないものがほとんどで、停電したらすぐ使えなくなります。

◆対策
・酸素ボンベ
どれくらい酸素を吸っているかによりますが、1分間に3リットル以上吸

っている方ならば、バッテリーが切れたらすぐに息苦しさを感じ、酸素ボ

ンベ(360リットル程度(を使ったとしても、2時間程度しかもちません。
・インバーターか発電機

酸素濃縮器は500ワット以上のものが多いので、インバーターを使う場合

は、シガーソケットではなく、車のボンネットを開けて、車のバッテリー

に直接つなぎます。

 

歴史が証明しているように、突如として、惨事はやってきます。

正しい情報に基づき、最悪を想定し、先手を打って行動することで、被害をできるだけ減らすことが重要です。

医療介護の関係者、ご家族ともに、話しあいの場を設け、万が一の事態に備えていきましょう。