コラム2022/01/19
突然のじんましんや痒み、むくみの原因? 「食物アレルギー」に気づくためには
近年、先進国を中心に「食物アレルギー」の患者数が増加傾向にあり、世間の関心度が高まっています。
食物アレルギーは、子供から大人まで幅広い世代に見られる症状ですが、その仕組みや原因、症状などについて正しく理解できている人は少ないのではないでしょうか。
体調が悪くて病院で検査をしたら食物アレルギーだった、なんて声は珍しくなく、これまで何ともなかった食物なのに、ある日突然アレルギー反応が起きるケースもあります。
食物アレルギーは気づきにくく、自己判断では原因の特定が難しい症状です。
重症化させないためにも異変を見逃さないことが大切です。
食物アレルギーにいち早く気づくためにも、仕組みや原因、症状など予備知識をもっておきましょう。
食物アレルギーが起こる仕組み
食物アレルギーとは、特定の食物に含まれる「アレルゲン(アレルギーの原因物質)」に、体を守る免疫システムが過敏に反応して、体にさまざまな症状を起こすものです。
本来、食物は異物として認識しないようにする仕組みが働くので、免疫反応を起こすことなく栄養として吸収されます。
しかし、免疫反応を調整する仕組みに何らかの問題がある場合や、消化・吸収機能が未熟な小さな子供の場合、「食物を異物として捉える」ことがあります。
その際、異物と認識された食物の成分(アレルゲン)を体が排除しようと働くためアレルギー反応が起こるのです。
アレルギーの原因「アレルゲン」は主にたんぱく質
食物アレルギーは、主に食物に含まれるたんぱく質がアレルゲンとなって発症しますが、食べたときだけでなく、食物に触れる、吸い込む、注射として体内に入った時にも起こります。
たんぱく質が主な原因になると聞くと、「お肉は食物アレルギーの原因になりやすいのでは?」と思うかもしれません。
でも、「肉アレルギー」なんて言葉は聞きませんよね。
これは牛や豚、鶏の肉の構造が人間の筋肉の構造と似ていることで免疫機能が働き、異物として認識されにくいためと考えられています。
たんぱく質はアレルギーを起こしやすい構造とそうでない構造に分かれるので「たんぱく質を多く含む食物=アレルギー反応が起きやすい」ではありません。
日本では主に牛乳や卵、小麦、魚、ピーナッツ、果物、エビ・カニ(甲殻類)などが代表的です。
特に多いのが卵で全体の約40%を占めています。
また原因となる食物は、年齢によって変わる傾向があり、乳幼児は主に卵や乳製品で、成人は果物や甲殻類が原因になる場合が見られます。
発症するとどんな症状が出る?
食物アレルギーの代表的な症状は、じんましんや全身のかゆみ、皮膚の赤み、むくみなどの皮膚症状です。
他にも息苦しさやくしゃみ、鼻水などの呼吸器症状や、目の充血や涙などの粘膜症状、嘔吐や下痢などの消化器症状、重症化すると命に関わる「アナフィラキシーショック」が認められます。
何かを食べてじんましんが出たり、一時的に気分が悪くなったからといって、食物アレルギーとは限りません。
食品に含まれる化学物質や、細菌やウィルスによる食中毒などでも食物アレルギーと似たような症状が起きる場合があります。
食物アレルギーは、食物を口にしたり、触れたらすぐに症状が現れる「即時型」のイメージがあるかもしれませんが、実際には数分〜1時間後に症状が出ることが多く、翌日または3日ほど経ってから起きる「遅発型」のケースも多いです。
時間差もあることから、原因の特定が難しいのも食物アレルギーの厄介なところです。
食物アレルギーかもしれない…と思ったら
卵や牛乳、小麦はアレルギーを起こしやすい食物ですが、さまざまな食物がアレルギーを引き起こす対象なので、疑心暗鬼になりすぎてもよくありません。
「気になるから」と食材や料理を制限してしまうと食べる楽しみを奪い、小さなお子様の体づくりにも悪影響を及ぼしかねません。
特定の料理を食べると体調が悪くなる、アレルギー反応を疑う症状が出るなどで、「食物アレルギーかもしれない…」と思ったら、自己判断はせずにまずは医療機関を受診しましょう。
原因物質を特定するには、専門医による問診や皮膚テスト、血液検査などを受け、疑われる食べ物を除外したり、反対に食べてみたりしてアレルギー反応に変化があるかを調べる必要があります。
まとめ
食物アレルギーには緊急性の高い症状もあるので、普段の食事や健康状態にも気を配り、異変を知らせる身体からのサインを見逃さないように注意しましょう。