コラム2019/06/12
ACPの推進は医療費削減が目的なのか?
ACPの推進は医療費削減が目的なのか?
6/6仙台市で開かれた第61回日本老年医学会学術集会(仙台)のシンポジウムで、「ACP推進に関する提言」が公表され、以下のような質問がフロアの医師から投げられました。
「今、国や学会がACPを推奨し始めたのは、ACPを診療報酬に加算し、高齢者医療費の削減を図っていく流れを国や学会が進めていくということなのか」。
この質問に対し、三浦久幸氏(国立長寿医療研究センター在宅連携医療部長)が、次のように言及しています。
2008年度の施行からわずか3カ月で凍結・廃止された「後期高齢者終末期相談支援料」に言及し、「自分の身近にいる厚生労働省の担当者を見ている限りでは、(国は)診療報酬とACPの実践をリンクさせることには非常にデリケートになっている。ACPに診療報酬を付けて、あわよくば延命治療を減らそうとは考えていないと思う」との考えを示した。一方、「医療現場ではいまだ『病気を診て人を見ず』という状況が続いており、それを改善したいと僕自身は心から思っているので、ACP推進と医療費の削減とは(目的が)違う」と述べた。
また、この質問に日本老年医学会理事長の楽木宏実氏は、次のような考えを述べています。
「現在、がん診療拠点連携病院で進む緩和ケア提供体制において、さまざまな加算が新設されている」ことに言及し、「緩和ケアの体制を整える中で、ACPが推奨されている。その流れでこうした病院ではACPを一所懸命やろうという方向になっている。基本的にはACPを推進しようという、大きな流れを厚労省は持っているのだろうと思う。決して加算と結び付けたいというのではなく、しっかりとした基準や実践のために、まず大学や基幹病院が先鞭をつけていってほしいということではないか」と説明。「厚労省が今進めようとしていることはポジティブに受け止めて良いのではないか」との考えを示し、「学会としては診療報酬加算を視野に入れていない」とACP実践への理解を求めた。
ちくさ病院においても、ACPは決して一通りのものではなく、医療従事者が試行錯誤しながら経験していき、徐々に一般の人が理解していくものだと考えております。
ちくさ病院では、9月の勉強会にて、理事長の加藤より「ACPについて~人生の最終段階を考える~」というテーマで講義をさせていただきます。
ご興味がある方は、ご参加いいただければ幸いです。
※勉強会の応募方法については、別途ご案内いたします。
※勉強会の年間スケジュールについては、6/7配信のバックナンバーをご覧ください。