在宅医療の基礎知識2021/08/18
④パーキンソン病患者の公的支援制度~難病医療費助成制度について~
パーキンソン病の患者さんは、療養生活のなかで身体の障害や医療費の問題など、身体的、精神的、社会的、経済的にご自身だけでは解決が難しいこともあります。それらを解決するために、行政によってさまざまな支援制度が用意されています。
数ある制度の中の「難病医療費助成制度」をご紹介致します。
ホーン&ヤール重症度と生活機能障害度
パーキンソン病では重症度によって受けられる支援が異なります。
まずは患者様が何度にあてはまるのかを判定しましょう。
<ホーン&ヤール重症度>
〇1度
障害は身体の片側のみで、日常生活への影響はほとんどない
〇2度
障害が身体の両側にみられるが、日常生活に介助は不要
〇3度
明らかな歩行障害が現れ、バランスを崩し転倒しやすくなる。なんとか介助なしで日常生活は可能。
〇4度
日常生活の動作が自力では困難で、その多くに介助が必要
〇5度
車いすまたはベッドで寝たきりで、日常生活では全介助が必要。
<生活機能障害度>
〇1度
日常生活、通院にほとんど介助を要しない
〇2度
日常生活、通院に部分的介助を要する
〇3度
日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能
難病医療費助成制度について
難病医療費助成制度は、疾患の効果的な治療法が確立されるまでの間、長期療養による医療費の経済的な負担を支援するとともに、医療費助成を通じて患者さんの病状や治療状況を把握し、研究を推進する制度です。
難病医療費助成制度の対象者
医療費助成の対象の要件は下記のとおりです。
- パーキンソン病の患者さん
- 各医療保険に加入しており、医療費の自己負担がある方
- ホーン&ヤール重症度3度以上、且つ生活機能障害度2度以上の方
<高度な医療を継続することが必要な軽症者の特例>
月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が年間3回以上ある場合は基準を満たさなくても難病医療費助成対象となります。
※パーキンソン病の医療費に関して、他の公費による医療給付を受けている場合は対象となりません。
難病医療費助成制度の有効期間
有効期間は1年間
その後も引き続き医療費の助成を希望する場合は、更新の手続きが必要になります。
申請の手続きに必要な書類
難病認定の申請は、最寄りの申請窓口で行います。申請に必要な書類は下記の通りです。
①認定申請書
②診断書(旧:臨床調査個人票)
③患者さんと同じ医療保険に加入している全員(世帯)の所得を確認できる書類
④住民票
⑤世帯全員分の保険証 など
申請手続きの方法
申請手続きは下記の順序で行います。
- 難病指定医に診断書の記載依頼
- 難病指定医が診断書を作成し、患者さんに書類を渡す
- 保健所などの申請窓口にて申請の手続き
- 保健所より、都道府県に対して審査依頼
- 認定調査の後、審査結果の通知を都道府県より申請した機関へ通知
- 申請した窓口より難病医療受給者証を交付、患者さんに送付
医療費助成における自己負担上限額
まとめ
今回は、パーキンソン病患者様が利用できる難病医療費助成についてご説明いたしました。パーキンソン病の患者様には、利用できる制度をできるだけ利用して、極力負担なく生活を続けて頂きたいですね。