コラム2020/10/05
統合失調症との向き合い方Vol.5~利用できる制度について知ろう~
統合失調症との向き合い方Vol.5~利用できる制度について知ろう~
在宅医療において統合失調症があるけど診察は可能かと聞かれることがあります。結論を言えば、診察は可能です。しかし、知っておいていただきたいのは認知症もそうですが、すべての病気は薬物療法で「治る」ものではありません。今回は、向き合っていく中で利用できる制度ついてみてみましょう。
統合失調症とは
統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられています。約100 人に1 人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。思春期から40歳くらいまでに発病しやすい病気です。薬や精神科リハビリテーションなどの治療によって回復することができます。
支える制度
統合失調症の方を支える制度(福祉サービス)には、主に次のようなものがあります。上手に活用しましょう。福祉サービスについてわからないことがあれば、医療機関の専門スタッフ(精神保健福祉士、ソーシャルワーカーなど)やお住いの地域の保健所、精神保健福祉センター、地域生活支援センターに相談することができます。
医療費をサポート
自立支援医療(精神通院)制度
精神科病院やクリニックへの通院でかかる医療費の自己負担分を原則として1割に軽減できる制度です。世帯の所得によって1カ月あたりの自己負担限度額が決まっていますから、安心して治療に専念することができます。
暮らしと社会生活をサポート
精神障害者保健福祉手帳
精神障害をもつ人の自立と社会参加を促進するための制度です。手帳をもつことで公共料金の割引や税金の控除など、さまざまなサービスを受けることができます。お住いの地域や事業者によって提供されるサービスは異なりますから、医療機関や自治体の窓口で相談してみましょう。
生活費をサポート
障害年金
病気やケガで障害をもった人の生活費を補うお金として、加入している保険(国民年金・厚生年金・共済年金)から支払われる制度です。精神疾患によって生活や仕事に支障を来している人は障害年金の受給対象になります。
生活保護と受給資格(障害者加算)
病気などで働けなくなった人や、高齢や障害で生活が困難になった人を対象に、国や地方自治体が生活を保証してくれる制度です。手帳をお持ちの方や障害者年金受給者には、障害の等級(1級または2級)に合わせて基準支給額に加算される【障害者加算】※を受けられます。
※手帳や年金を受けていなくても、同程度の障害と診断されていれば加算を受けられることもあります。
就労をサポート
就労に関する支援は、次のような施設で受けることができます。病気の症状が安定してきたら、治療を続けながら働くことも可能です。病気の人を対象にした「障害者枠」のほか、「一般就労」で働いている人たちもたくさんいらっしゃいます。上記の施設では、仕事を探している方への求職情報の提供だけでなく、仕事につく自信がない方や仕事を続けられるか不安な方を対象として職業準備訓練や職場実習、就職後の定着支援なども行っています。また、落ち着いて仕事を続けていく上で必要な生活面での支援もしてくれます。
「そろそろ仕事をしてみたいな」と思ったら、まずは主治医に希望を伝えて、これらの施設の専門スタッフに相談してみましょう。
まとめ
今回は統合失調症と向き合っていく中で利用できる制度についてお話しました。精神疾患であることから精神科医に診てほしいという希望もあるかと思います。当院でも訪問診療にて精神科医が介入することは可能です。若くしてという方であれば通院できるようになったら訪問診療を止めるという選択肢もあるのではないでしょうか。精神科医介入に関心がありましたらお気軽にお問い合わせください。