コラム2020/09/08
統合失調症との向き合い方Vol.2 治療について知ろう
統合失調症との向き合い方Vol.2 治療について知ろう
在宅医療において統合失調症があるけど診察は可能かと聞かれることがあります。結論を言えば、診察は可能です。しかし、知っておいていただきたいのは認知症もそうですが、すべての病気は薬物療法で「治る」ものではありません。では、統合失調症の治療についてみてみましょう。
統合失調症とは
統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられています。約100 人に1 人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。思春期から40歳くらいまでに発病しやすい病気です。薬や精神科リハビリテーションなどの治療によって回復することができます。
治療方法は
統合失調症の代表的な治療として、薬による治療と精神科リハビリテーションがあります。急性期には薬による治療が基本になりますが、なるべく早い時期から薬と精神科リハビリテーションを組み合わせた治療を行うことが効果的です。
薬物療法について
抗精神病薬
統合失調症の治療の中心となる薬を「抗精神病薬」といい、症状の改善や再発の予防に大きな力を発揮します。抗精神病薬は、主として脳内で過剰に活動しているドーパミン神経の活動を抑えることで症状を改善すると考えられています。抗精神病薬は、定型抗精神病薬(従来型)と非定型抗精神病薬(新規)とに分けられます。定型抗精神病薬は陽性症状に効果があり、非定型抗精神病薬は陽性症状に加えて陰性症状や認知機能障害に対する効果も期待できます。
その他の薬
精神病薬のほかに症状に合わせて、不安や抑うつを和らげる薬、睡眠薬などが使われます。また、抗精神病薬の副作用を抑えるための薬が処方される場合もあります。
症状を調整する薬
抗不安薬…強い不安感や緊張感を和らげる
抗うつ薬…憂うつな気分を和らげ、意欲を高める
睡眠薬…よく眠れない、寝付きが悪い、早朝に目が覚めてしまう、昼夜逆転など、睡眠のリズムを調整する
抗精神病薬の副作用を抑える薬
抗パーキンソン病薬…手のふるえ、身体のこわばり、足のむずむずなどの錐体外路症状を抑える
便秘薬…便通を良くする
副作用かな? と思ったら
時として体が硬くなったように感じたり、手足がふるえたり、落ち着きがなくなる人も中にはいます。また、のどが渇いたり、便秘になったりする人もいます。これらは薬の副作用の場合がありますので、少しでも「おかしいな」と感じたら主治医に相談しましょう。薬の量を調整したり、種類や組み合わせを変えることで、副作用を抑えることが可能です。
服薬をやめてもいいですか?
薬を飲むことをやめると、再び症状が出てくることがあります。また、再発を繰り返すと症状が強くなり、治りにくくなります。薬には再発を予防する作用がありますから、薬を続けることはとても重要です。症状が良くなったからといって、勝手に自分で薬をやめてはいけません。毎日薬を飲むのが面倒であれば、1 回の投与で2~4週間効果が続く持続性注射剤を選ぶこともできます。薬を飲むことをやめる、薬の量を減らすなどについては、主治医とよく相談して決めましょう。
まとめ
今回は統合失調症の薬物療法についてお話しました。精神疾患であることから精神科医に診てほしいという希望もあるかと思います。当院でも訪問診療にて精神科医が介入することは可能です。精神科医介入に関心がありましたらお気軽にお問い合わせください。次回は精神科リハビリテーションについてお話します。