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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

マスク配布再び~お金と善意の無駄遣い?~

コラム2020/08/12

マスク配布再び~お金と善意の無駄遣い?~

マスク配布再び~お金と善意の無駄遣い?~

「アベノマスク」というネーミングが定着し、様々な物議をかもした政府によるマスク配布。全世帯に2枚ずつ配布されているはずだが、テレビの政治家以外で着用しているひとをほとんどみかけたことがない…と感じている方も少なくないのではないでしょうか。

マスク配布の為の費用が約500億円かかったことも多くの日本国民に不信感を与える結果となってしまいました。
そんな記憶が残る中、厚生労働省は再び介護施設などへの布マスクの配布を行うことを検討している事を明らかにしました。介護現場への布マスクの配布をめぐっては、8000万枚を新たに発注するとの情報もありましたが、厚労省が「税金のムダ」などと批判を受けて方針を転換しました。

第2弾のマスク配布の内容は?

厚生労働省は5日、「 介護施設等への布製マスクの配布希望の申出について」とするページを公開しました。この布製マスクはいわゆる“アベノマスク”です。
加藤勝信厚生労働相は7月29日、マスク配布について「配布を希望する介護施設等に随時配布するというやり方にしていきたいと考えております」と話していました。
5日に公開された布製マスクの配布希望に関する文書によると、募集時期は 「8月5日~当面の間」、配布対象施設は介護施設、障害者施設、児童施設等とされています。配布枚数・回数は、施設の職員と利用者を対象に1人4枚を目安として配布するということです。

5日から募集開始。具体的な配布方法も明らかに

布マスクの追加配布を希望する介護施設・事業所の募集を5日から始めた厚生労働省が、具体的な配布方法を明らかにする通知を発出しました。
訪問系・通所系サービスの利用者の分は、居宅介護支援事業所(ケアマネージャー)が配布を行う。

  • 訪問系・通所系サービス以外(小規模多機能・看護付き小規模多機能を含む)の利用者分は、各施設・事業所が直接配布を行う
  • 総合事業の利用者の分は地域包括支援センターが配布を行う

以上が通知された配布方法の概要です。

ケアマネの負担増加の問題

厚生労働省は訪問系、通所系など在宅サービスの利用者が配布を希望している場合は、居宅介護支援事業所から一括して申請して欲しいと説明し、ニーズの把握に協力するようケアマネジャーに呼びかけました。発送先も居宅介護支援事業所にするとし、引き続き利用者の手元に届ける役割も担うよう求めています。配布業務に対しての特別報酬等の措置はないため、ケアマネージャーは無報酬で協力をしなければなりません。
当然、マスクを希望した利用者や家族からの申請したマスクに関しての問い合わせへの対応や、早急なマスク配送の希望があった場合にモニタリング以外のタイミングでの訪問なども想定されます。
ケアマネージャーの業務負担の増加、“タダ働き”をしなければならないことで高まる政府への不信感の高まり等へのフォローが正しくできるかが、今回の布マスク配布の大きな課題となりそうです。

まとめ

今回は、厚生労働省主導の布製マスク配布に関してお話をさせて頂きました。「アベノマスク」をめぐっては、介護施設からも使い勝手の悪さを指摘する声や、疲弊する現場へのより具体的な支援策を求める声が上がっていましたが、一方で、使い捨てマスクを入手できない人にとって、無償マスクは貴重だとする声も見られます。マスク配布についての議論はしばらく続きそうですね。