よくある質問
-
コロナ感染を契機に、体調管理と医療機器管理を在宅で行っているケース
■ 基本情報
年齢・性別:85歳・男性
居住地:名古屋市守山区
家族構成:本人と妻が同居
長男は兵庫県在住、キーパーソンである長女は北区在住
次女は福井県在住で、介護支援は遠方からとなっている■ 保険・介護情報
- 医療保険:後期高齢者医療(1割負担)
- 介護保険:要介護3(1割負担)
■ 主な疾患歴
- うっ血性心不全
- 肥大型心筋症
- 非弁膜症性心房細動
- 脳梗塞後遺症
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 高血圧症
- 睡眠時無呼吸症候群(ASV管理中)
- 高尿酸血症
- 認知機能障害(軽度)
- 腰椎圧迫骨折(既往)
■ 訪問診療導入の経緯
日頃より複数の慢性疾患を抱えながらも在宅生活を送っていたが、ある日、発熱をきっかけに救急搬送され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断。
入院中はデカドロン点滴による治療が行われ、比較的早期に呼吸症状は落ち着いたものの、退院後も体力や認知面への不安が残る状況となっていた。また、在宅酸素療法とASV(睡眠時無呼吸症候群用)を併用しており、日常的な医療機器の管理や状態把握を継続的に行える体制が必要と判断された。
ご家族とも相談のうえ、「今後の生活をより安全に、安心して継続できるように」との希望から、訪問診療の導入を決定した。
■ 在宅支援の方針と対応
- 呼吸状態や心不全の兆候を見逃さないよう、定期的なバイタルチェック・血液検査などを実施
- 在宅酸素およびASV管理の継続支援。医療機器の使用状況も確認しながら、ご家族の不安を都度フォロー
- 脳梗塞後遺症や軽度の認知機能低下もふまえ、急な変化への備えとして在宅医療の「常備感」を高めた関与を継続
ご家族は遠方からの支援体制であったが、定期的な医師の訪問があることで、主介護者である奥様の心理的負担も軽減された。
■ この事例から見えること
複数の疾患を抱える高齢者にとって、「通院ができるか」だけではなく「家で安心して過ごせるか」を基準に医療支援を設計する視点が重要となる。
在宅医療が入ることで、ご本人の体調だけでなく、ご家族の“もしもの不安”も静かに支えることができる。このようなケースでは、「病院には行けるけど、家のほうが安心」――そんなご本人やご家族の感覚を尊重した支援体制が、結果として生活の安定につながっている。
訪問診療の持つ“日常に寄り添う力”が実感される一例である。
新規で在宅医療を
お考えの方へ