よくある質問
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リハビリを続けたいという意志を尊重して在宅支援体制を再構築したケース
■ 基本情報
年齢・性別:76歳・男性
居住地:名古屋市守山区
家族構成:本人・妻・長男と同居
長女とお孫さんも、支援のため一時的に同居し介護をサポート■ 保険・介護状況
- 医療保険:後期高齢者医療(2割負担)
- 介護保険:要介護5(1割負担)
- その他:福祉給付金の対象
■ 主な診断
- 外傷性脊髄損傷
■ 訪問診療導入の背景
趣味であった登山中の転倒をきっかけに、外傷性脊髄損傷を発症。以降、身体機能の著しい低下が見られ、日常生活の大部分に介助を要する状態となった。
リハビリ専門病院であるT記念病院にて一定期間の訓練を受けていたが、関節拘縮が徐々に進行し、車椅子移乗には常時2名以上の介助が必要。座位保持も難しく、現在はベッド上での生活が中心となっている。食事はペースト状のものを全介助にて摂取しており、嚥下機能の注意も必要な状態。
一方で、認知機能はしっかりと保たれており、ご本人は「少しでも体を動かし続けたい」「リハビリはあきらめたくない」という強い希望を持ち続けていた。■ ご家族の思いと導入の決め手
これまでの医療体制では、T記念病院でのリハビリ通院と、他院からの訪問診療とが分かれていたが、ご家族から「できるだけ医療とリハビリの支援を一本化し、連携のとれた体制にしたい」というご相談があった。
特に、通院に伴う移動負担や連絡の煩雑さが介護のハードルとなっていたため、ご本人の希望とご家族の介護負担の両面から、訪問診療の体制見直しが求められていた。当院としては、これまでの経過や家族構成をふまえ、医療・看護・リハビリの多職種連携による在宅支援の強化をご提案。訪問診療を中心に、リハビリや福祉用具の調整も含めた包括的支援がスタートすることとなった。
■ 支援のポイント
- 医師・訪問看護・訪問リハビリによる継続的なフォロー
- ベッド上でもできる拘縮予防・呼吸リハビリ等への取り組み
- 栄養状態や嚥下機能のモニタリング、栄養支援と口腔ケアの併用
- ご家族への介助指導や福祉機器導入の相談対応
■ この事例から見えること
重度身体障害を伴う利用者であっても、「本人の意志」を中心に据えることで、在宅での生活の質は大きく変わる。
医療・看護・介護が分断されずに繋がっていくことで、「安心して家で生きる」という日常が、現実のものになっていく。このようなケースでは、単なる医療管理ではなく、ご本人の目線に立った体制設計が、支援の軸になることがわかる一例である。
今後の在宅医療のあり方を考えるうえで、非常に示唆に富むケースといえる。
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