よくある質問
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無理なく暮らすために、通院から在宅への切り替えを選んだご家族のケース
■ 基本情報
年齢・性別:75歳・男性
居住地:名古屋市東区
家族構成:奥様・次男様と3人暮らし。長男様は中村区在住。
次男様は不規則な勤務のため、在宅対応が難しい日もある。■ 医療・介護状況
- 医療保険:後期高齢者医療(1割)
- 介護保険:要介護3(1割)
- 主な診断:
・食道がん術後
・COPD(肺気腫)
・心房細動/心不全
・肺アスペルギルス症の疑い
・大腸憩室出血
■ 訪問診療導入の経緯
もともと複数の慢性疾患を抱えながらも通院を続けていたが、あるとき下血をきっかけに緊急入院。
保存的治療で退院に至ったものの、その後はADLが大きく低下し、外来通院が現実的に難しい状況となっていた。退院後の生活についてご家族と相談を重ねた結果、無理に通院を続けるのではなく、自宅での療養に切り替える方がご本人の望む形に近いという判断に至り、訪問診療を導入。
以前から呼吸器疾患などもあり、在宅療養に適した状態ではあった。■ 在宅での支援内容と方針
- 医療的方針
体調の変動にあわせて訪問回数を調整しながら、“無理をしない”在宅生活の継続を重視。
ご家族とも定期的に相談し、安心して過ごせる環境を整えていった。 - 服薬管理
本人とご家族の負担が大きくならないよう、必要最小限に絞った内服処方を継続。 - 診療体制
血液検査や心電図、超音波検査などを在宅で適宜実施し、急変の兆候を見逃さない体制を構築。
■ ご本人の最期とご家族のかかわり
最終的には食事摂取が難しくなり、当院へ入院。
ご本人もご家族も、積極的な延命処置は望まず、医療的介入は最小限に。
ご家族に見守られながら、穏やかな時間のなかでご逝去された。■ この事例から見えること
- 通院が難しくなったタイミングで、早めに在宅医療を導入することの価値
- 医療・介護の両面から支えることで、ご本人の希望とご家族の安心感が両立できた
- 最期まで、「その人らしく暮らせる」選択を支える訪問診療の役割が大きかった
このようなケースでは、通院がぎりぎり成立している段階での介入が、結果としてご家族・ご本人双方の負担を軽減しやすくなります。
早めの相談・導入が、「暮らしを支える医療」のスタートになることを実感した一例です。
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