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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

よくある質問

  • 在宅で支えるには、“気持ち”と“体制”の両方がいる

    ■ 基本情報

    年齢・性別:89歳・女性

    居住地:愛知県あま市

    家族構成:長男夫婦と3人暮らし(キーパーソン:長男)

    他県に長女、友人にケアマネジャー

    保険情報:後期高齢者医療(1割)、介護保険は新規申請中

    ■ 主な健康課題

    気管支喘息(長年の通院歴あり)

    肺小細胞がん(放射線治療後、経過観察中)

    息切れ・呼吸苦(慢性的に自覚症状あり)

     

    ■ 訪問診療導入のきっかけ

    もともと通院にて気管支喘息の治療を受けていたが、日常的に呼吸苦が続いていた。

    ここ最近は、活動量の低下や疲労感の増加が見られ、通院自体が負担となってきたことから、在宅での診療を希望されるようになった。

    大きな急変ではなかったものの、**「暮らしそのものに揺らぎが出てきている」**という家族の直感もあり、医療的な支えを入れるため訪問診療を導入することとなった。

    ■ 在宅療養中の様子と生活環境の課題

    訪問診療の開始後、体調そのものは大きく変化していないようにも見えたが、

    ご家族(特に長男の妻)からは「室内で空調が使えていない」「日中誰も在宅しておらず十分な見守りができない」といった不安の声が寄せられた。

    実際の訪問時にも、本人は活気に乏しく、固形物の摂取が困難で、水分とエンシュアを少しずつ摂取する状態であった。吸入や内服も難しくなっていたため、薬剤を貼付剤やエアロゾルタイプに変更するなどの対応を行った。

    しかしながら、在宅での療養継続が難しいと判断され、家族のつながりや医療機関との調整の中で、入院という選択肢が取られることとなった。

    ■ 支援の結果とその後の経過

    訪問診療は短期間での介入となったが、在宅での様子を医療的に把握したことが、次のステップへの判断材料になった。

    その後、ご本人は長女の住む地域へ移られ、最終的にはご逝去されたと報告を受けている。

    ■ ADL・認知機能(訪問導入時点)

    食事:固形物困難、水分・栄養補助飲料を少量ずつ

    排泄:おおむね自立

    入浴:家庭内では困難、デイサービス利用も検討されていた

    認知機能:軽度低下(HDS-R未評価)

    ■ 医療処置

    在宅酸素療法(HOT)

    薬剤変更(吸入薬・内服→貼付剤・エアロゾル製剤)

    ■ まとめ

    「まだ自宅で見られている」と思われていた状況にも、医療的な視点をひとつ加えるだけで、生活の変化を正確に捉えやすくなる。

    家族が“何となく不安”を感じていたその時点こそ、訪問診療が入りやすく、支援の幅が広がるきっかけとなりうる。

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